何を積む?「荷台」が広げる可能性 イネオス・グレナディア・クォーターマスターへ試乗 エンジンはBMWの直6

公開 : 2024.06.08 19:05

大富豪が作った本格オフローダーに、ピックアップトラックが登場 エンジンはBMW社製の3.0L直列6気筒 コクピット感が漂うインテリア 出色の悪路性能は変わらず 英国編集部が評価

エンジンはBMW社製の3.0L直列6気筒

イネオス・グレナディアのステーションワゴンは、プレミアムSUVと比較して、価格に高級感が追いついていなかった。しかしピックアップトラックなら、割高なことを納得できる利便性が得られる。市場の受け止められ方に、影響を与えそうだ。

グレナディア・クォーターマスターは、グレナディア・ステーションワゴンと基本的な部分を共有する。ボディも、60%程度は変わらない。

イネオス・グレナディア・クォーターマスター(英国仕様)
イネオス・グレナディア・クォーターマスター(英国仕様)

シャシーは強固なラダーフレーム。前後にリジットアクスル・サスペンションが組まれ、ステアリングラックは旧式な再循環ボール式を採用する。

ちなみに、リジットアクスルのスズキジムニーも再循環ボール式。現代的なラック&ピニオン式では、大きな起伏を越えた場面などで、キックバックなど望まない手応えが生じてしまうためだ。

ボンネット内に縦置きされるエンジンは、BMWから届けられる3.0L直列6気筒のガソリンターボかディーゼルターボが選択できる。トランスミッションは、8速オートマティックのみとなる。

ローレンジ・トランスファーと、ロッキング・センターデフが標準装備。オプションで、前後アクスルのデフもロックできるタイプを指定可能だ。

クォーターマスターでは、ホイールベースは305mm伸ばされ3227mm。全長は荷台部分が545mm長く、5400mmある。追って、キャビン部分までしか架装されない仕様も用意されるとか。

最大積載量は760kg コクピット感が漂うインテリア

全長が伸び、悪路性能に影響は出ているはずだが、800mmの渡河水深、264mmの最低地上高、35.5度のアプローチ・アングルは変わらない。ホイールベース間のブレークオーバーは28.2度から26.2度、デパーチャーは36.1度から22.6度へ減少している。

荷台は、ユーロパレットと呼ばれる規格に対応。奥行きが1564mm、幅が1619mmある。ガソリンターボで最も軽量な仕様では、最大積載量は835kgがうたわれる。試乗したディーゼルでは、760kgへ落ちる。牽引能力は、3500kgまで対応する。

イネオス・グレナディア・クォーターマスター(英国仕様)
イネオス・グレナディア・クォーターマスター(英国仕様)

インテリアも、基本的にグレナディア・ステーションワゴンと同じ。ウインドウの下端が低く、運転席からの視界は開けていて、車両周囲の状況を理解しやすい。ルーフサイドのサファリウインドウを装備すれば、開放感は一層高まるだろう。

デザイナーは、飛行機のようなコクピット感を重視した。センターコンソールには、エアコン用スイッチがメカっぽさ満点で並ぶ。オフロード関連の操作系は天井側。スポットライトなど、アクセサリー用のスイッチも準備されている。

手袋をしたまま各機能を扱えるよう、インターフェイスは大きめ。BMW由来のインフォテインメント・システムはタッチモニターに対応するが、センターコンソール上の大きなロータリーコントローラーでも操作できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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