ご当地売上No.1!カテゴリー 中国の電動軽自動車ってどんな感じ? ジーリー・ジオメトリー・パンダへ試乗

公開 : 2024.06.05 19:05

内心では大きいクルマを買いたい中国人

近年は、駆動用バッテリーの低価格化も進んだ。リン酸鉄リチウム (LFP) ・バッテリーの量産化で、安価に充分な航続距離を得られるようになっている。

ところが、2023年のホングアン・ミニEVの販売数は、2022年の半分近い23万7863台へ減少したという。ライバルモデルの台頭もあるが、オックスフォード大学研究所の調査では、このクラス自体が縮小しているらしい。

ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)
ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)

2021年の中国では、バッテリーEVの販売数で、このクラスのモデルが約30%も占めていた。転じて2023年には、10%を切ったという。

その理由は、いくつかある。上海など一部の都市では、新規にナンバープレート
付与する対象を、バッテリーEVのみへ制限している。しかし、パンダのような小型車は対象外となったことが1つ。

もう1つは、ふた回りほど大きなモデルが、同等の価格帯で販売され始めたこと。BYDシーガルの価格は、8100ポンド(約157万円)に相当する。ウーリン・ビンゴも、6000ポンド(約116万円)程度でディーラーに並んでいる。

「中国人は、内心では大きいクルマを買いたいと考えています。コンパクトカーを買う理由は、そのサイズが欲しいのではなく、価格にあります」。と、中国・北京モーターショーの幹部担当者は説明していた。

スマート・フォーツーは独自プラットフォーム

それでも、欧州では小さなクルマに対し需要がある。メルセデス・ベンツのスマートは、延べ220万台を販売した。ジーリー・ホールディングスとの新体制下で開発が進むスマート・フォーツーは、同等の支持を集める可能性が高い。

ただし、フォーツーが基礎骨格とするプラットフォームは、パンダとは異なるそうだ。ツイン・エアバッグを備え、スマートフォン・アプリでドアロックを操作できるなど高度な技術にも対応するが、採用されなかった。

ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)
ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)

「(パンダは)本格的なクルマとは呼べません。フォーツーの後継モデルは、ブランドに適合する必要があります。アウトバーンを走れ、プレミアムな雰囲気を持つ、本物のクルマとして」。と、スマートの欧州部門トップ、ダーク・アデルマン氏は話す。

真新しいバッテリーEVへ6000ポンド(約116万円)で乗れる日は、英国には来るのだろうか。パンダを直接輸入しても、モデル名はフィアットとの調整が必要になることは間違いないが。

執筆:ニック・ギブス(Nick Gibbs)

ジーリー・ジオメトリー・パンダ・カート(中国仕様)のスペック

価格:5940ポンド(約115万円/換算)
全長:3155mm
全幅:1522mm
全高:1655mm
最高速度:99km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:199km
電費:−km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:807kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:17.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:40ps
最大トルク:11.1kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事