NMC電池で航続距離600km! 全長4.3mのモダンな新SUV登場 韓国キア「EV3」発表

公開 : 2024.05.29 06:05

キアにとって3番目のEV専用モデルとなる新型「EV3」が披露された。BセグメントのSUVタイプで、ロングレンジ仕様で最長600kmの航続距離を誇る。欧州市場に強く焦点を当てている。

欧州価格は約600万円

韓国の自動車メーカーであるキア(起亜自動車)が新しいコンパクトEV「EV3」を公開した。ハイエンドモデルと同等の技術を投入し、欧州仕様では600kmの航続距離を実現するという。

新型EV3は昨年コンセプトモデルが公開されたSUVタイプのEVで、欧州市場に焦点を当てて3万ポンド(約600万円)以下での発売を目指している。ボルボEX30ルノーメガーヌEテックなどがライバルになるだろう。

キアEV3
キアEV3    キア

キアは年間約20万台の販売目標を掲げており、その約半数は欧州で販売する。

EV専用プラットフォームをベースに開発され、全長4300mm、全幅1850mm、ホイールベースは2680mmとなっている。

箱型のボディ形状にもかかわらず、空気抵抗係数を示すCd値は0.267と低い。これは立体的に造形されたアンダーフロアとアクティブ・エアフラップによるものである。

インテリアは「リビングスペース」のような感覚を提供する。ダッシュボードには、2枚の12.3インチ・タッチスクリーンと5.0インチ・ディスプレイを統合した大型デジタルディスプレイが装備され、これにヘッドアップ・ディスプレイが組み合わされる。

操作性を高めるために物理ボタン類を残しつつ、AIを活用したボイスコントロール機能が搭載されている。

無線アップデート機能を備えており、将来的に動画ストリーミングサービス(停車中に利用可能)などさまざまなエンターテインメントサービスを提供する予定だ。表示デザインもカスタマイズできる。例えば米国では、NBAのチームをモチーフにしたスキンを提供している。

ワークスペースとして使用できるスライドテーブル付きのセンターユニットなど、室内には多数の収納スペースが設けられている。トランク容量は460Lで、25Lのフロントトランク「フランク」もある。

シート、ヘッドライナー、アームレスト、フロアマットなどの内装材には再生ファブリックや再生PETなど、持続可能な素材が使用される。ダッシュボードと内装材にはQRコードが記され、スマートフォンで読み込むと使用素材の詳細がわかるようになっている。

2種類のNMCバッテリーを用意

パワートレインとしては当初、最高出力204psの電気モーターを1基搭載し、バッテリーは2種類のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)から選択できる。スタンダードレンジ・モデルには58.3kWhのバッテリーが搭載され、航続距離は約410kmとなる。ロングレンジ・モデルには81.4kWhのバッテリーが搭載され、航続距離は最長600kmとなる。

この航続距離は、主要ライバル車を大幅に上回るものだ。例えば、フォルクスワーゲンID.3の公称航続距離は最長545kmである。

キアEV3
キアEV3    キア

400Vの電気アーキテクチャを採用し、充電速度はスタンダードレンジ・モデルで102kWで、ロングレンジ・モデルで最大128kWとなる。双方向充電が可能で、リアには車載用コンセントが装備される。

EV3はまず韓国で発売され、今年後半には欧州本土にも導入される予定だ。今後、パフォーマンス重視の「GT」モデルをはじめ、複数のバリエーション展開が計画されている。

キアはすでにニロEVなど複数の完全電動モデルを展開しているが、これらはプラットフォームを内燃エンジン車と共通化し、ガソリンモデルやハイブリッドモデルと併売されている。今回のEV3は、当初からEVとして開発されたEV専用モデルである。

キアの欧州マーケティング・ディレクター、デビッド・ヒルバート氏はEV3について、売れ筋のニロを「補完」するものであり、キア車を購入したことがなく、EV専用車を探している購買層をターゲットとしていると語った。

「ニロは3種類のパワートレイン(ガソリン、ハイブリッド、EV)を提供することで、人々が一歩ずつ移行するのを助けることができます。EV3は、次のステップとしてEV専用車を求める人々のためのものです。すべての顧客タイプに合うとは限りません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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