フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに

公開 : 2024.06.02 20:25

結論 ★★★★★★★☆☆☆

ティグアンは、競合がハイブリッドに絞り込んだり4WDを用意しなかったりするのに対し、エンジンやドライブトレイン、サスペンションの仕様を多数用意して、幅広いユーザー層を満足させる選択肢を用意することで、商業的成功を実現する。

前輪駆動とマイルドハイブリッドを組み合わせたスポーティグレードのR−ラインは、ティグアンの売れ筋仕様にはならないだろう。しかし、ディーゼルのほうが万能性は高いだろうし、PHEVのほうが高性能だとしても、マイルドハイブリッドのeTSIは英国で多く売れるだろう。そして、ウォルフスブルグのクルマに期待するような、穏やかかつ精密で、まとまりのある、走りの安心感と一貫性をもたらしてくれるはずだ。

結論:機能的で完成度は高いが、エンジンやグレードの設定には注文がある。
結論:機能的で完成度は高いが、エンジンやグレードの設定には注文がある。    MAX EDLESTON

直接的な競合車と比較すれば、ティグアンはSUVらしい実用性や万能性を十分に備えていると言える。今回のテスト車に限れば、パフォーマンスやドライバビリティ、上質感も他に引けを取らないが、乗り心地は改善の余地がある。

群雄割拠するこのマーケットには、もっとブランド力やルックスに勝るものもある。そんな中でこのティグアンは、合理的で賢明な資質に強みを見出せるクルマであるはずだ。もっと道具に徹して、配慮が行き届いているに越したことはない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ブラックスタイリングパッケージ付きのR−ラインは、個人的にはまず選ばないだろう仕様である。無駄は省いたほうがいいという主義に反するからだ。ホイールは小さく、デジタル装備やADASは少ないほうがありがたい。アダプティブダンパーもいらないかもしれない。

イリヤ・バプラート

フォルクスワーゲンの新型マルチメディアシステムは、大きな飛躍を遂げた。とはいえ、同じシステムに多機能実体コントロールを組み合わせたスコダ・コディアックに乗ったあとだと、フォルクスワーゲンのそれにはなにか足りないと感じずにはいられない。

オプション追加のアドバイス

高額グレードや大径ホイールは避けて、デジタル装備はお好みで追加しよう。燃費を考えるなら、eハイブリッドかディーゼルを選びたい。

改善してほしいポイント

・キャビンにはシンプルで手触りのいいマテリアルを。アンビエントライトは、控えめにしてほしい。
・20インチホイールを履くR−ラインは乗り心地の静粛性に改善の余地あり。スポーティなテイスト自体は、それほど非難するべきものではない。
・マイルドハイブリッドのeTSI 150と、PHEVのeハイブリッドとのギャップを埋めるフルハイブリッドの設定を検討してもらいたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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