フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに
公開 : 2024.06.02 20:25
操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
フォルクスワーゲンはティグアンのサスペンションを大幅に改善したとしており、それに関連する乗り心地やハンドリング、ボディコントロールはわれわれの関心を引くところだ。しかし、ゴルフGTIの最新モデルで実証されたアダプティブダンパーのDCCプロを装備してさえ、使い方によって装備内容をかなり慎重に限定するべきクルマである。
テスト車はR−ライン仕様で、20インチホイールに255幅のタイヤを履く。また、アダプティブシャシーコントロールを備えるダイナミックドライビングパッケージも装備するので、プログレッシブステアリングが加わり、センターからの切りはじめがクイックになる。
ガッチリと路面を捉え、ボディ挙動をきっちりコントロールし、背の高いクルマとしてはキレのいいターンインをみせる。そして、全体的には重量を感じさせずに、速めのコーナリングを、もっと低くて軽いクルマのように整然と安定してこなすSUVだ。
断固として鈍いが、安心感のある前輪駆動シャシーのバランスは、あまり魅力的なプロセスではないにせよ、素早く走らせるのが楽だ。プログレッシブステアリングはアシスト効きすぎで、フィルターのかかったようなフィーリングだが、手応えは一定している。電子制御スタビリティコントロールは、オフモードにしても完全にはカットできないが、めったに介入してこない。ただし、この場合はグリップがパフォーマンスを大きく凌いでいるという事情もある。
フォルクスワーゲンにおける中間レベルのSUVに、エンスージアストを喜ばせるような走りは期待しないだろうし、たしかにこれはそういうクルマである。しかし、精密さやスタビリティ、冷静でゆるぎない沈着なハンドリングは折り紙付きだ。