V8ツインターボで635馬力 BMW新高級オープンカー、来年にも発売か 洗練された「Z8」後継

公開 : 2024.05.30 18:05

BMWが24日に公開したコンセプトモデル「スカイトップ」は早ければ来年にも市販化される可能性がある。公道走行の認可取得は「可能」らしく、需要があれば少量生産モデルとして導入する姿勢だ。

公道走行の認可取得は「可能」

BMWは5月24日に公開したコンセプトモデル「スカイトップ」の市販化に向けた準備を進めており、早ければ来年にも少量生産モデルとして発売される可能性がある。

コンセプト・スカイトップは8シリーズをベースに、最高出力635psの4.4L V8ツインターボを搭載している。2000年代のZ8のデザインを一部踏襲しており、公道走行用のホモロゲーション(認可)に適合するという。

24日にイタリアで公開されたBMWコンセプト・スカイトップ
24日にイタリアで公開されたBMWコンセプト・スカイトップ    AUTOCAR

BMWのデザイン責任者であるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏はスカイトップについて次のように語った。

「ヘッドライトもテールライトも新しい。可能な限りスリムにしています。しかし、ホモロゲーションに適合することは分かっています」

「もし市販化するならば、ごく限られた生産台数でやるべきだと思います。50台しか作れなかった3.0 CSLのように」

「それなら理にかなっていると思います。夢のクルマになるでしょう。大量生産する必要はありません。このアプローチをとれば、1年以内にデリバリーできます」

また、BMW Mのフランク・ファン・ミールCEOはスカイトップの発表を「テスト気球のようなもの」と表現した。

「クルマを見せて、十分な需要があれば作る。需要はかなり高いと思います。そのため(市販化の)可能性はかなり高い。実際にどれほどの受注につながるかは今後数週間でわかるでしょう」

「BMWは常に新しいことに挑戦し、需要があるかどうかを確かめたいと考えています」

「BMWは大企業であり、少量生産車を作ることは主な目的ではありません。しかし、お客様の声に耳を傾け、こういうことをやってほしいという要望があれば実行します。これは、日常的に作っているクルマだけでなく、需要があれば特別なものも作れるということを示す良いジェスチャーだと思います」

力強く引き締まったボディ

スカイトップは取り外し可能なタルガルーフと一体型ロールオーバーを備えた高級2シーター・オープンカーだ。24日にイタリアで開幕したクラシックカーイベント「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」にて実車が披露された。

長く突き出たボンット、ロングホイールベース、ゆるやかな傾斜をつけたトランクなど、BMWの伝統的なグランドツアラー(GT)のプロポーションを備えている。一方で、彫刻の少ないスムーズな表面処理、エレガントなライン、先進的なライティング技術、アルミのハイライトなど、大部分は現代的なデザイン思想に根ざしている。

24日にイタリアで公開されたBMWコンセプト・スカイトップ
24日にイタリアで公開されたBMWコンセプト・スカイトップ    AUTOCAR

フロントエンドはかつての「シャークノーズ」を彷彿とさせる尖った形状が特徴的。薄いLEDヘッドライトとボンネットの巨大な通気口が、スポーティな印象をさらに強調する。

レザーで仕上げられたルーフパネルは2枚分割式で、ウィンドウ上部とシート後方ロールバーに固定される。BMWの特徴的なデザインであるホフマイスターキンクも採用されている。リアライトには有機EL技術を採用し、リアバンパーには楕円形のマフラーが組み込まれている。

インテリアでは、最新世代のインフォテインメント・システム、おなじみのシフトノブ、従来型のマルチファンクション・ステアリングホイールが装備される。基本的なレイアウトは既存の8シリーズと同様だ。

パワートレインには「BMWのドライブトレイン・ポートフォリオの中で最もパワフルなV8エンジン」と称される最高出力635psの4.4L V8ツインターボを採用した。これもまたV8エンジンを搭載するZ8へのオマージュである。

仮に市販化が確定した場合、スカイトップはZ8の後継車として最短で2025年に発売される見込みだ。ベースの8シリーズには現在、クーペと4ドア・ファストバック(グランクーペ)も用意されているが、どのボディタイプが導入されるかは不明だ。

BMWは2025年から次世代EVラインナップ「ノイエ・クラッセ」を順次展開する計画だが、エンジン車に終止符を打ったわけではない。スカイトップは特定のセグメントにおいて大排気量エンジンにまだ未来があることを示唆している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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