最新 Eクラス vs 5シリーズ 「半世紀」続くメルセデス・ベンツとBMWのライバル関係 プラグインHVを比較試乗(1)

公開 : 2024.06.08 09:45

半世紀の直接バトルが続く、メルセデスのEクラスとBMWの5シリーズ 最新のプラグインHV世代、E 300eと530eの優劣はいかに パワートレインとスペックは近似 英国編集部が2台を比較

半世紀前から続く直接的なライバル関係

この2台は、自動車業界では指標の1つ。半世紀前から、直接的なライバル関係が続いてきた。AUTOCARのバックナンバーを遡れば、「コンパクト」と呼ばれていたW123型がデビューした1976年に、ローバーSD1との3台で比較試乗されている。

市場の流行は変化し、消滅した自動車ブランドは複数ある。しかし、メルセデス・ベンツEクラスBMW 5シリーズという、2台のポジショニングは変わらないといえるだろう。

シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスと、レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロ
シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスと、レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロ

ボディサイズは格段に大きくなり、価格はインフレで大幅に上昇した。数字としては、1976年の約10倍のプライスタグが付いている。経済力を測る、ビッグマック指数のようなものかもしれない。

積まれてきたパワートレインは、時代を反映してきた。当初は自然吸気の直列6気筒ガソリンが主力だったが、2000年代に入るとディーゼルターボへ交代。現在は、電気モーターで走るEQEとi5もラインナップされている。

2024年の英国で選べる内燃エンジンは、2.0L 4気筒ガソリンターボのみ。直列6気筒ガソリンにマニュアルという組み合わせは、先代でお別れを告げた。

英国では、半世紀で自動車の税制も大きく変化した。会社からの貸与車両として乗る場合、電動化技術を搭載していた方が納税額を抑えられる。グレートブリテン島では、このクラスでバッテリーEVやプラグイン・ハイブリッドが支持される理由になっている。

近似したパワートレインとスペック

というわけで、内燃エンジンで走るEクラスと5シリーズを2024年に比較するなら、E 300e対530eということになる。面白いことに以前と変わらず、2台のプラグイン・ハイブリッド・パワートレインやスペックは、かなり近似している。

どちらも、フロントに2.0L 4気筒ガソリンターボを搭載する後輪駆動。オートマティックに内蔵された駆動用モーターが約150馬力を発揮し、走りをアシストする。荷室の床下に20kWh弱の駆動用バッテリーを積み、電気だけで100km前後を走れる。

レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロと、シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラス
レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロと、シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラス

ただし、パッケージングが似ていても、運転体験まで似ているとは限らない。現実世界での実用性や充足感はどうだろう。直接、乗り比べてみるしかない。

真っ先に1ポイントを挙げるだろうと予想していたのは、E 300e。駆動用バッテリーの容量が19.5kWhに対し18.7kWhで僅かに大きく、カタログ上では1度の充電で少し遠くまで走れるからだ。

ところが、電費では530eの方が優れることが判明。2台とも満充電で発進させると、96km進んだところで充電は切れた。一般的なユーザーが毎日の通勤をこなすのに、充分な距離とはいえるけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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