最新 Eクラス vs 5シリーズ 「半世紀」続くメルセデス・ベンツとBMWのライバル関係 プラグインHVを比較試乗(1)

公開 : 2024.06.08 09:45

知的で巧妙な電気エネルギーの利用

蓄えられた電気の利用も、530eの方が知的で巧妙。満充電の状態で320km先の目的地を目指してみると、ルートに合わせて計画的に電気が消費されていく様子がわかる。市街地や渋滞に備えて、一定の充電量を確保するようにも制御される。

E 300eでも、同様に制御はされている。ところが実際は、ひと足先に充電が切れてしまうようだった。

メルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスのステアリングホイールを握る筆者、イリヤ・バプラート
メルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスのステアリングホイールを握る筆者、イリヤ・バプラート

プラグイン・ハイブリッドは、ランニングコストの評価が難しい。走る距離と充電量に、大きく依存している。少なくとも、カタログへ記載されているWLTP値の燃費は、現実的には達成が困難だろう。

フラットに評価しやすい指標の1つが、電気モーターだけで走行している時の電費。E 300eは4.8km/kWh、530eは5.3km/kWh辺りになる。

駆動用バッテリーの充電が切れた状態での、燃費もわかりやすい。これは2台とも14.2km/L前後になる様子。結果として、駆動用バッテリーの容量は違っても、ランニングコストは大差ないと考えて良い。

では、プラグイン・ハイブリッドのミドルクラス・サルーンは、運転する喜びを宿しているだろうか。2台はシステム総合で300馬力前後の最高出力を発揮するが、車重は2tを超えている。その答えは、概ねイエスなようだ。

コーナリングラインを内側に絞れる面白さ

後輪駆動の低いシャシーへ据えられた、スポーティなシートへ身体を委ねるのは、やはり心地良い。数10mmは厚みがある、駆動用バッテリーの上に据えられたシートへ座ることより、遥かに。

着座位置は530eの方が低い。前方へ足を伸ばし、背中を程よく倒した運転姿勢に落ち着く。長めのボンネット越しに、良好な前方視界が広がる。

シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスと、レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロ
シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラスと、レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロ

両車は純粋な後輪駆動で、シャシーのバランスは素晴らしい。アクセルペダルの加減で、コーナリングラインを内側に絞っていける、面白さがある。

グリップ状態に応じて、ステアリングホイールの重みは自然に変化する。カーブが連続する区間を、スピードを保って気持ち良く駆け抜けられる。

ただし、エキサイティングではない。AMGラインとMスポーツ・プロだとしても、重すぎて大きすぎる。特に530eは、そんな印象が強い。新しいG60型は、約20年前のE65型7シリーズより長く幅が広いのだ。手に余る印象は否めない。

この続きは、最新 Eクラス vs 5シリーズ プラグインHVを比較試乗(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

最新 Eクラス vs 5シリーズ プラグインHVを比較試乗の前後関係

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