W12との別れは「初体験」との出会い ベントレー・コンチネンタルGT プラグインHVの試作車へ試乗

公開 : 2024.06.01 19:05  更新 : 2024.06.03 06:47

旋回時のバランスは大幅に改善 かなり機敏

恐らく軽くはなっていない車重を制御するため、ハードウエアは従来どおり複雑。電圧48Vで稼働するアクティブ・アンチロールバーと、デュアルチャンバーのエアサスペンションに加えて、反応速度と可変域を改めた、デュアルバルブ・ダンパーを備える。

ドライブモードのデフォルトは、変わらずベントレーの頭文字を取ったBモード。乗り心地は、3代目と似ているように感じた。そこからスポーティなモードへ切り替えると、従来以上にボディの動きが抑制される。ソフト側へ振ると、目に見えて快適に変化する。

ベントレー・コンチネンタルGT スピードのプロトタイプを試乗する筆者、マット・プライヤー
ベントレー・コンチネンタルGT スピードのプロトタイプを試乗する筆者、マット・プライヤー

新しいシャシーは、これまでにないほど路面からの入力を鎮めつつ、姿勢制御も向上させている。難しい二面性を、見事に両立しているようだ。

今回の試乗は、路面が軽く濡れたサーキットを4周ほど走っただけ。具体的なフィーリングに関しては、後日確かめるしかない。

とはいえ、ステアリングホイールは軽く、一層ダイレクトになったことは明らか。前後の重量配分が改善されたことと相まって、コーナー侵入時の挙動はニュートラルに。旋回時のバランスも、大幅に改善されている。

コーナーの出口では、ライン調整の幅も拡大。かなり機敏に感じられるようになった。

ブレーキをかけながらコーナーへ突っ込むと、リアアクスルが軽く流れ、旋回を助ける様子を感じ取れる。出口に向けて姿勢を整えながら、加速へ移れる。コンチネンタルGTでは、初めての体験だ。

これまで通りの二面性 ポジティブな第一印象

アクティブ後輪操舵システムの働きまでは感じ取れなかったものの、少なくとも身のこなしは自然。ステアリングホイールを握る手のひらには、路面の感触がしっかり伝わってきていた。

加えて、驚くほど速い。0-100km/h加速は3.2秒が主張される。今回は濡れた路面で、充分なトラクションを得られなかったが。

V8エンジンの筋肉質なサウンドも心地良い。センターコンソールの太いシフトレバーを倒し、ドライバーが直接ギアを選ぶこともできる。反面、コンフォートモードでは大人しく転じ、変速もほぼ感知できなくなる。

インテリアは、まだ詳しくご紹介できないが、ダッシュボード中央にインフォテインメント用タッチモニターが据えられるのは変わらない。お好みに応じて、モニターは回転させて隠せる。アナログ時計か、化粧パネルのみにするか、気分で選べる。

これまで通り、ドライバーが望めば気持ちを高ぶらせ意欲的に走れるのと同時に、望まなければ、穏やかにのんびり流すことも可能。これこそコンチネンタルGTのコンセプトの核だと、ベントレーは説明する。

それを存分に確かめるには、改めて公道で長い時間をともにする必要がある。それでも、第一印象は非常にポジティブ。ドライバーとの一体感が引き上げられたことは、間違いなさそうだ。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(プロトタイプ/欧州仕様)のスペック

英国価格:25万ポンド(約5000万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:334km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:62.3km/L
CO2排出量:36g/km
車両重量:2400kg(予想)
パワートレイン:V型8気筒3996cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:25.9kWh
最高出力:782ps(システム総合)
最大トルク:101.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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