フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ UK中古車ガイド お安いだけの「理由」アリ?

公開 : 2024.06.13 19:05

珍しい2シーターのスパイダー

マセラティグランスポーツには、非常に珍しいコンバーチブルのスパイダーもあった。全長はクーペより229mm短く、リアシートは備わらない。ただし、こちらの試乗レポートの内容はクーペほど良くなかった。

その理由の1つが、同時期のポルシェ911と比較して、実用性が劣ったこと。また、サスペンションを1番ソフトにしても、タイヤへ強い入力が加わると、不自然にボディが震えたことも印象を下げた。コーナーでは、不安定になるほどだった。

マセラティ・グランスポーツ・スパイダー(2004〜2007年/英国仕様)
マセラティ・グランスポーツ・スパイダー(2004〜2007年/英国仕様)

とはいえ、希少性はマセラティの魅力の1つ。しっかり状態を確かめて、選ばれしトライデント・クラブの仲間入りを果たすのも悪くないだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

スタイリングに手が加えられ、エレガントさは多少損なわれた。しかし、グランスポーツは最高のマセラティ・クーペだ。歴代で初めて、連続するカーブを積極的に駆け回ることが可能になった。エンターテインメント性も素晴らしい。

ポルシェ911ほど、完成度は高くない。しかし、興奮度ではこちらが上。しかも、遥かに高級感は高い。(2004年9月7日)

マセラティ・グランスポーツ(2004〜2007年/英国仕様)
マセラティ・グランスポーツ(2004〜2007年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

マット クラーク氏

「これまでに、3台のグランスポーツを乗り継いできました。多少は詳しいといえます。エキゾチックな見た目で、サウンドも素晴らしい。賢明な買い物だと思いますよ」

マセラティ・グランスポーツ(2004〜2007年/英国仕様)
マセラティ・グランスポーツ(2004〜2007年/英国仕様)

「普通に走っているぶんには大丈夫ですが、渋滞時は注意が必要です。低速走行を続けると、クラッチが壊れてしまうんです。丁寧に乗れば、6万kmくらいは使えます。しかし、1台は2万kmでクラッチがダメになりました」

「部品は高価で、トランスミッション用ポンプ1つで850ポンド(約17万円)します。ただし、実はアルファ・ロメオのセレスピードと同じユニット。これを選べば130ポンド(約3万円)で済みます。故障しても、ネット上の沢山の知識が支えてくれるでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

スペアタイヤ・ハウジング内が湿っていないか確かめる。トランクリッドやテールライトの周辺、ホイールアーチの内側に、サビがないか観察したい。

アルミホイールは、リムの内側に細かいヒビが生じやすい。ライトユニットなどの交換部品は、ほぼ流通していない。スパイダーでは、ソフトトップの開閉が滑らかか、実際に試してみる。雨漏りにも要注意。

エンジン

マセラティ・グランスポーツ・スパイダー(2004〜2007年/英国仕様)
マセラティ・グランスポーツ・スパイダー(2004〜2007年/英国仕様)

定期的なエンジンオイルとフィルターの交換は不可欠。カムカバー・ガスケットからオイル漏れがないか観察したい。

オルタネーターや温度センサー、スターターモーターの接触不良など、様々な原因で始動性が悪い場合がある。アイドリング時の油圧は、温まった状態で2.5barが正常。2000rpmでは、5.0bar程度まで高まる。

トランスミッション

フルードは定期的に交換したい。オートモードは穏やかに運転するようチューニングされており、アクセルペダルを深く踏まないとキックダウンしない。スポーツモードの方が、扱いやすく感じるかも。

オートダイナミクス社の、ドライブバイワイヤ・モジュールをインストールすると、調子が良くなるというオーナーもいる。1速から2速への変速が滑らかか、リバースに入れるとドアミラーの角度が変わるか、試乗で確かめたい。

トランスミッション用ポンプは、動作時にノイズを出す。クラッチの寿命は、専門ガレージで予め確認してもらうと安心だ。

サスペンションとブレーキ、ステアリング

高速走行時も安定しているのが正解。スカイフック・サスの修理は、専門的な知識が必要になる。ステアリングホイールの違和感は、フロント・コントロールアームやリア・タイロッドベアリングの不調が原因のことも。

ブレーキディスクとパッドの残量を確認しておく。始動後に、ABSの警告灯が消えることも要確認。純正の指定タイヤは、かなりお高い。

インテリア

バッテリーが生きているか、エンジンの始動後に警告灯がすべて消えるか、冷静に確かめる。ステアリングホイールを巻くレザーは傷みがち。

ヒーターマトリックスの詰まりで、フロントシート側のフロアが濡れる場合がある。ステレオが不調になる原因でもあるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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