フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ UK中古車ガイド お安いだけの「理由」アリ?
公開 : 2024.06.13 19:05
珍しい2シーターのスパイダーも
マセラティ・グランスポーツには、非常に珍しいコンバーチブルのスパイダーもあった。全長はクーペより229mm短く、リアシートは備わらない。ただし、こちらの試乗レポートの内容はクーペほど良くなかった。
その理由の1つが、同時期のポルシェ911と比較して、実用性が劣ったこと。また、サスペンションを1番ソフトにしても、タイヤへ強い入力が加わると、不自然にボディが震えたことも印象を下げた。コーナーでは、不安定になるほどだった。
とはいえ、希少性はマセラティの魅力の1つ。しっかり状態を確かめて、選ばれしトライデント・クラブの仲間入りを果たすのも悪くないだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
スタイリングに手が加えられ、エレガントさは多少損なわれた。しかし、グランスポーツは最高のマセラティ・クーペだ。歴代で初めて、連続するカーブを積極的に駆け回ることが可能になった。エンターテインメント性も素晴らしい。
ポルシェ911ほど、完成度は高くない。しかし、興奮度ではこちらが上。しかも、遥かに高級感は高い。(2004年9月7日)
オーナーの意見を聞いてみる
マット クラーク氏
「これまでに、3台のグランスポーツを乗り継いできました。多少は詳しいといえます。エキゾチックな見た目で、サウンドも素晴らしい。賢明な買い物だと思いますよ」
「普通に走っているぶんには大丈夫ですが、渋滞時は注意が必要です。低速走行を続けると、クラッチが壊れてしまうんです。丁寧に乗れば、6万kmくらいは使えます。しかし、1台は2万kmでクラッチがダメになりました」
「部品は高価で、トランスミッション用ポンプ1つで850ポンド(約17万円)します。ただし、実はアルファ・ロメオのセレスピードと同じユニット。これを選べば130ポンド(約3万円)で済みます。故障しても、ネット上の沢山の知識が支えてくれるでしょう」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
スペアタイヤ・ハウジング内が湿っていないか確かめる。トランクリッドやテールライトの周辺、ホイールアーチの内側に、サビがないか観察したい。
アルミホイールは、リムの内側に細かいヒビが生じやすい。ライトユニットなどの交換部品は、ほぼ流通していない。スパイダーでは、ソフトトップの開閉が滑らかか、実際に試してみる。雨漏りにも要注意。
エンジン
定期的なエンジンオイルとフィルターの交換は不可欠。カムカバー・ガスケットからオイル漏れがないか観察したい。
オルタネーターや温度センサー、スターターモーターの接触不良など、様々な原因で始動性が悪い場合がある。アイドリング時の油圧は、温まった状態で2.5barが正常。2000rpmでは、5.0bar程度まで高まる。
トランスミッション
フルードは定期的に交換したい。オートモードは穏やかに運転するようチューニングされており、アクセルペダルを深く踏まないとキックダウンしない。スポーツモードの方が、扱いやすく感じるかも。
オートダイナミクス社の、ドライブバイワイヤ・モジュールをインストールすると、調子が良くなるというオーナーもいる。1速から2速への変速が滑らかか、リバースに入れるとドアミラーの角度が変わるか、試乗で確かめたい。
トランスミッション用ポンプは、動作時にノイズを出す。クラッチの寿命は、専門ガレージで予め確認してもらうと安心だ。
サスペンションとブレーキ、ステアリング
高速走行時も安定しているのが正解。スカイフック・サスの修理は、専門的な知識が必要になる。ステアリングホイールの違和感は、フロント・コントロールアームやリア・タイロッドベアリングの不調が原因のことも。
ブレーキディスクとパッドの残量を確認しておく。始動後に、ABSの警告灯が消えることも要確認。純正の指定タイヤは、かなりお高い。
インテリア
バッテリーが生きているか、エンジンの始動後に警告灯がすべて消えるか、冷静に確かめる。ステアリングホイールを巻くレザーは傷みがち。
ヒーターマトリックスの詰まりで、フロントシート側のフロアが濡れる場合がある。ステレオが不調になる原因でもあるようだ。
画像 フェラーリ製V8をお手頃価格で! マセラティ・グランスポーツ 先代シャマルと最新グラントゥーリズモ MC20とMC12も 全148枚