レクサスLBX 詳細データテスト インテリアの質感は高い 意外に硬い乗り心地 モアパワーがほしい

公開 : 2024.06.08 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

もしもLBXを、レザーで飾っただけのトヨタヤリスクロスだと評したら、レクサスのエンジニアたちは大いに違を唱えるだろう。というのも、基本骨格を共用する以上のことをしているからだ。

プラットフォームはトヨタのBセグメント用コンポーネンツであるTNGA−Bのバリエーションで、ハイブリッドパワートレインともども、ヤリスクロスとベースは同じ。しかし、各車で別個に開発されたというのが、エンジニアの主張だ。

ベースとなるのはヤリスなどと同じ1.5Lハイブリッドだが、NVH対策やモーターとバッテリーの出力向上などが施されている。
ベースとなるのはヤリスなどと同じ1.5Lハイブリッドだが、NVH対策やモーターとバッテリーの出力向上などが施されている。    JACK HARRISON

実際のところ、パワートレインは改良版ヤリスと大差ない3気筒ハイブリッドだが、電気モーターは9psアップ。そのモーターを存分に活かすため、バッテリーも0.76kWhのリチウムイオンから、1.0kWhのニッケル水素に変更。最新のバイポーラ式で、プラグインではないハイブリッドに求められる急速な充放電性能や、LBXが欲した高出力を実現した。

年内に追加される電気式4WDは、リアアクスルに6.4ps/5.3kg−mのインダクションモーターを搭載。明らかに、パフォーマンスへの貢献度は小さく、0−100km/h加速はむしろ0.4秒遅くなる。あくまでも滑りやすい路面で、低速時のトラクションを増すのが狙いのメカニズムだ。

1.5L直3自然吸気は、パワーもトルクもヤリスと同じだが、バランスシャフトが追加され、エンジンのバイブレーションを相殺してスムースさをもたらす。

LBXを正真正銘のレクサスとして仕上げるために、NVHの磨き込みは重視された。ドアを閉める際の音は、パネル内に設置した減衰シートで調整。また、ルーフやアンダーボディに遮音材が追加されている。タクミ以上の上位グレードには、遮音ガラスとアクティブノイズキャンセリングも備わる。

マルチリンクを用いるミニとは異なり、LBXは小型車の常道ともいうべき前マクファーソンストラット/後トーションビームというサスペンションだが、4WD版のリアはダブルウィッシュボーンとなる。ステアリングコラムには振動を吸収する、伸縮機構付きインターミディエイトシャフトを装着する。

ボディパネルに、ヤリスクロスとの共通点はなく、ホイールベースは20mm、全長は10mm上回る。レクサスの新世代デザインを採用し、ややトーンダウンしたスピンドルグリルがフロント部に統合された。ヤリスに比べるとAピラーは後方にあり、ボンネットは長く、ホイールアーチはフレアしている。残念なのは、Cd値が0.34と高いことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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