レクサスLBX 詳細データテスト インテリアの質感は高い 意外に硬い乗り心地 モアパワーがほしい

公開 : 2024.06.08 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

ドアを開けて最初に気付くのは、レクサスがインテリアを高級に感じさせる点に関して、この上なくうまい仕事しているということ。いうなれば、RXのスケールダウンを見るようだ。

デザインは控えめかつモダンで、テスラや最新のレンジローバーのように要素を削ぎ落としてシンプルに徹している。いっぽうでマテリアルは魅力的。多用されているソフトタッチの合成皮革は、本革とあまり見分けがつかない。

小型車だという先入観があると、むしろ違和感を覚えるほど高級感は十分。ただし、情報表示や安全装備類などはもう少し念を入れた取捨選択を望みたい。
小型車だという先入観があると、むしろ違和感を覚えるほど高級感は十分。ただし、情報表示や安全装備類などはもう少し念を入れた取捨選択を望みたい。    JACK HARRISON

9.8インチのタッチ式ディスプレイは、ダッシュボードにうまく組み込まれているので邪魔にならない。また、温度調節や走行モード、オートホールドなどの実体ボタンを設置するスペースもしっかり確保されている。エアコン操作の一部はタッチ画面経由で行うが、操作部は常時表示されている。

これがほかのレクサスならば、やや存在感の薄い温度調節ロッカースイッチと、サテン仕上げの金属調プラスティックを張ったセンターコンソールの組み合わせには文句が出るかもしれない。しかし、より大きくて高価なメルセデス・ベンツGLAクプラフォーメンターあたりと比べれば、LBXのほうが仕上がりは一枚上手だと感じる。

この凝縮感は視覚的にも大きく作用し、マテリアルの高級さは、センターコンソールの狭さや助手席との距離に対してある種の認知的不協和を引き起こす。あくまでも外見のサイズや、多少不足気味の居住空間との相対関係にすぎないので、すぐに慣れるのだが。

背の高いテスターは、運転席を目いっぱい後方へスライドしないと快適なポジションを取れなかったが、そうなると後席は小さな子どもくらいしか座れなくなる。とはいえ小型車なのは承知の上なのだから、それを欠点に挙げるのはお門違いだ。いっぽうで、荷室は驚くほど深さがある。

ほぼ高級車として納得できる体験を提供してくれるLBXだが、それを損ねるような無駄に腹立たしい技術も装備されている。まず言いたいのは、必要ないことまでなんでもかんでも警告音で知らせること。ドアが空いたままだとか、後席に誰か乗ったままだとか、それを本当に見落とすことがそうそうあるだろうか。エンジンをかけるたびに、利用規約への同意か不同意かを尋ねられるのもうっとうしい。

プレミアムプラス以上に装備される、ステアリングホイールのタッチトレーサーボタンもまた、ちょっとばかり厄介だ。アイデアは悪くない。特定の機能は割り当てられておらず、設定が可能で、触れればメーターパネルかヘッドアップディスプレイに説明文が表示される。その下のボタンを使えば、ふたつのプリセットを切り替えることもできる。

ところが実際には、選択できるマッピングが限られていて、それほど使い勝手がよくない。標準画面の要素も、十分に考えられたものとは言い難い。また、クルーズコントロール使用中はディスプレイのレイアウトが固定されてしまう。反応がイマイチで、何度も押さなくてはいけないことの多いボタンも困りものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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