自動車見本市が「消える」理由 モーターショーの首を絞めているのは誰だ

公開 : 2024.06.06 18:05

開催終了は避けられなかった

ジュネーブの主催者はまた、業界の不確実性や経済的課題を指摘している。電動化の推進やパンデミックが自動車業界を根底から覆したことを考えれば、それも無理はなかろう。

しかし、自動車メーカーはあらゆるパワートレインを搭載した膨大な量の新型車を送り出しており、これをチャンスと見ることもできる。展示内容には困らないはずだ。

ジュネーブ・モーターショーのスイスでの開催は無期限中止となる。
ジュネーブ・モーターショーのスイスでの開催は無期限中止となる。

大衆の嗜好も変化している。先述したグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのようなイベントは、没入感と見ごたえのあるアクションが満載で、多くの点でモーターショーの「後継」の役割を担っている。わたし達も変わったのかもしれない。

では、何がジュネーブ・モーターショーを終わらせたのだろうか? 冷淡な主催者、頑固なメーカー、世界的な不況、パンデミックの影響、それとも単なる無関心? 実際のところ、これらすべての要素が絡んでいるのだろう。そして、今年は主催者がどんなに努力しても、この結果は避けられないように感じた。

悲しいことに、これで得をする者はいない。自動車関連企業、メディア、そして一般大衆は重要なイベントを失った。モーターショーはいまや絶滅危惧種のようにさえ感じられる。

しかし、まだ完全に滅びたわけではない。ドーハを拠点とする奇妙な “ジュネーブ” ショー(GIMSカタール)はどうやら存続するようだし(消滅したショーの名前を引き継ぐメリットは不明)、パリは2024年、ミュンヘンは2025年に予定されている。

だからこそ、ジュネーブ・モーターショーがなぜ廃止されたのか、そして他のモーターショーに同じことが起こらないようにするにはどうすればいいのかを考えることが重要なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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