「半世紀前」と同じシャシーのロードスター V8エンジンを押込んだプラス8 モーガン 2気筒から8気筒まで(2)

公開 : 2024.06.22 17:46

1世紀以上の歴史を持つモーガン 熱烈なファンを生んだV2エンジンのスーパースポーツ プラス4のシャシーにV8エンジンを押し込んだプラス8 英国編集部が歴代の4台をご紹介

あらゆるコーナーでパワースライド

ダーク・グリーンが美しい、1953年式モーガン・プラス4のオーナーは、アンブローズ・ラングレー・プール氏。アメリカへ1度輸出され、英国には2023年に帰ってきた。その後、ボディは地金へ戻され再塗装。真新しい内装とソフトトップも与えられた。

彼のプラス4は、スタンダード・ヴァンガード社製エンジンを積んだ最後の1台。モーガンは、1953年に1991ccのトライアンフTR2用4気筒へ切り替えたからだ。

モーガン・プラス4(1950〜1969年/英国仕様)
モーガン・プラス4(1950〜1969年/英国仕様)

傾斜した平面のラジエーターグリルが、見た目では最大の特徴。1954年には、ウォーターフォールと呼ばれる、滑らかにカーブを描いたグリルへ変更されている。突き出たヘッドライトやランニングボードなどに、戦前の面影が漂う。

ステアリングホイールが胸元へ垂直に伸びるものの、足もとには見慣れたアクセルとブレーキ、クラッチの3枚のペダル。大きいスピードメーターの横へ、燃料と水温、電流、油圧を組み合わせた補機メーターが並ぶ。

肘を外側へ突き出してステアリングホイールを回すスタイルが、クラシック感を高める。ヘッドライトのスイッチは、足で操作するタイプだ。

プラス4は、出だしから扱いやすい。エンジンはドライなサウンドを響かせ、モス社製4速MTのシフトレバーは短く、動きにムダがない。ペダル間隔が広く、ヒール&トウも簡単にできる。

旋回時のボディロールは最小限。車重は838kgと軽く、操舵へ正確に反応する。BFグッドリッチ社製のクロスプライ・タイヤは、あまりアスファルトを掴まない。あらゆるコーナーで、パワースライドさせて楽しめる。

基本的に1950年のプラス4と同じシャシー

創業者の死後、モーガンの経営を受け継いだのが息子のピーター・モーガン氏。パワートレインなどは、時代の規制へ合致するよう開発は重ねられたが、新しいプラス4 プラスは商業的に失敗。2000年から2018年までは、寄り目のエアロ8が提供されてきた。

しかし、近年まで同社を支えていたのは、古い技術をベースにしたモデル。その代表例が、1968年に発売されたモーガン・プラス8と、2004年に発売されたモーガン・ロードスターという2台だ。

モーガン・ロードスター(2004〜2019年/英国仕様)
モーガン・ロードスター(2004〜2019年/英国仕様)

ロードスターでは、2シーターに加えて2+2の4シーター・ボディも選択可能。当初は同時期のフォード・モンデオに載っていた、3.0L V型6気筒デュラテック・エンジンを搭載し、年式次第で206psから226psの最高出力を発揮した。

ご登場願ったレッドのロードスターは後期型で、エンジンは3.7L V6のデュラテック・サイクロン。最高出力は284psと、大幅に引き上げられている。

オーナーのジム・ロウ氏は、これを新車で購入。イタリアへ旅行するなど、積極的に乗って楽しんでいるという。

ダッシュボードのレイアウトは、プラス4に遠からず。スイッチ類は整えられ、悩まず操作できる。シートは調整可能になり、3スポークのステアリングホイールは小径に。より自然な運転姿勢を取れる。

このロードスターで特筆すべき点が、基本的には1950年のプラス4と同じ設計のZフレーム・シャシーを採用すること。細かな改良が施されていたとはいえ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

モーガン 2気筒から8気筒までの前後関係

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