【問われる「法令遵守」と「認証制度改革」】 メーカー5社が国に「型式指定」で認証不正を報告
公開 : 2024.06.06 11:45
6月3日のプレスリリース以降、ダイハツに続き、業界内外をにぎわせている「認証不正問題」。今回は実際にどのような認証不正が行われていたのか? 記者会見の開始時間の早い順でご紹介します。
認証不正問題
今、「型式(かたしき)指定」に関する認証不正が各メディアで大きく取り上げられている。
トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、そしてヤマハ発動機がそれぞれ6月3日にプレスリリースを出し、このうちトヨタ、ホンダ、マツダはトップが参加した記者会見を開いた。
この「型式指定」とは、自動車メーカーが研究開発したクルマを製造ラインで大量生産する際、国が定めた各種の保安基準等をクリアしていることを示す、いわば許可証のようなものだ。型式指定を受けたモデルは、製造した車両の個別試験を行う必要がなくなる。
では、実際にどのような認証不正が行われていたのか? 記者会見の開始時間の早い順で紹介する。
午後4時から始まったマツダでは、大きく2つ。ひとつは、過去に生産した車種における、衝突試験での試験車両の不正加工だ。
具体的には、前面衝突時の乗員保護に対する認証試験で、エアバックを車載センサーの衝突検知による自然起爆ではなく、外部装置で時間をして起爆させていた。
対象モデルは「アテンザ」(2014年11月〜18年4月)/「アクセラ」(2016年8月〜2019年2月)、そして「アテンザ・マツダ6」(2018年4月〜2024年4月)の合計9万7192台に及ぶ。
もうひとつの不正は、現行2モデルが対象で、「ロードスターRF」と「マツダ2」。エンジンの出力認証試験においてエンジン制御ソフトウエアを書き換えて対応した。
トヨタも多様な不正発覚
マツダによれば、エンジン制御ソフトウエアを書き換えた理由は、走行状態に近づけるため排気管の周邊をファンで冷却していたが、その熱気が吸気側にも回ってしまい、その影響を少なくするために、点火時期補正昨日の一部を停止させた。
次は、トヨタだ。不正の事案は大きく6つある。このうち、前面衝突試験でエアバックをタイマー着火したのが、「クラウン」と「アイシス」。ともに生産終了。
歩行者頭部と脚部保護の試験では、規定と異なる衝撃角度を用いたなど、「カローラ・アクシオ」/「カロール・フィールダー」、また生産終了している「シエンタ」と「クラウン」。
後面衝突試験で規定と異なる台車重量を用いたのが、「シエンタ」と「クラウン」。ともに生産終了。積荷移動防止試験で、規定と異なるブロックを使用したのが、「ヤリス・クロス」。
また、エンジン出力試験で出力点の制御調整を行ったのが、生産終了した「レクサスRX」だ。これら合計7車種で約170万台が対象となる。
そしてホンダについては、騒音試験で試験車両の重量設定が法規の範囲を超えて試験をしたケース。また、ガソリンエンジンと電動機の最高出力および定格出力試験で、試験結果の出力値とトルク値を書き換えた。
それ以外にもガソリンエンジンの出力試験でオルタネーターを未作動で試験を行うなど、不正の対象に現行モデルはないが、過去22車種で約325万台にも及ぶ。