【問われる「法令遵守」と「認証制度改革」】 メーカー5社が国に「型式指定」で認証不正を報告

公開 : 2024.06.06 11:45

「法令遵守」と「技術開発」とのギャップ

そのほか、スズキは貨物用の「アルト」でブレーキのフェードに関する試験での不正で過去1車種、またヤマハ発動機は二輪車で騒音試験と警音器の音圧試験で現行1車種の不正が見つかった。

こうした型式指定に関る認証不正については、昨年12月のダイハツによる大規模かつ長期間に渡る認証不正が発覚したことで業界内に激震が走った。

どのような認証不正が行われていたのか?
どのような認証不正が行われていたのか?

それを受けて、国土交通省が1月26日、自動車メーカー各社や関連企業各社に対して一斉の社内調査を要請していた。今回はその結果、5社から多様な不正の実態が明らかになった。

そうした中で、各社の説明を聞いて、多くの人が気になったのが「より厳格な試験内容でも実施していたが、法令通りではなかった」という回答が目立った点だろう。

近年、自動車の設計/開発においては、予防安全・衝突安全、そして環境対応などで認証試験が多様化しており、また国や地域によっても認証に関する法律が違う場合が少なくない。

メーカー幹部は「認証は、法をどう読み解くのかという点で、曖昧さが残る」とも表現する。

技術的な視点では、より厳しい内容で社内試験を行っていても、認証試験の内容と食い違う場合もあり得る。

今後は、国と日本自動車工業会がより深く連携し、最新の開発事情にマッチし、さらに法令遵守を徹底できるような、認証制度のDX(デジタルトランスフォーマット)化を進めるべきだと強く思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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