限界へ誘う「悪魔的」スーパーカー ランボルギーニ・レヴエルトへ試乗 V12+3モーターで歴代最大・最強

公開 : 2024.06.07 19:05

呆気に取られるほど公道で扱いやすい

駆動用バッテリーはシャシー中央に載り、走行中はエンジンの余力で充電可能。センターコンソールの赤いカバーを上げてスタートボタンを押すと、EVモードで起動する。

ステアリングホイール上のボタンで、EVモードはいつでも選べる。刺激的なオレンジ色のスーパーカーは、日産リーフのように静かにも走れる。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニレヴエルト(英国仕様)

磁性流体を封入したダンパーには2モードあり、EVモード時は感嘆するほど乗り心地はしなやか。このモードも、ステアリングホイール上で簡単に切り替えられる。アヴェンタドールも、乗り心地は悪くなかったが。

パワートレインのダイヤルをストラーダ以上に回すと、「V12エンジンが始動します」という実務的なメッセージが、メーター用モニターに表示される。数秒後、猛烈な勢いで後方からノイズが放たれる。レーシングカーが、ピットレーンから発進するように。

圧巻のエグゾーストノートへ、金属的なメカノイズも重なる。歴代最大・最強のランボルギーニらしい。

かくして、そんなレヴエルトは、濡れた公道で呆気に取られるほど扱いやすい。もちろん、アルピーヌA110級に親しめるわけではないが、直線加速で興奮を誘うだけのスーパーカーではなくなった。

ウラカンのような一体感は、速度域が上昇すると増していく。ホイールベースはアヴェンタドールより80mm長いが、クイックなステアリングで短く感じられる。後輪操舵システムも影響しているはずだが、剛性を増したシャシーの効果でもあるだろう。

全幅と馬力には要注意 悪魔的な仕上がり

ごく稀に、複雑な電子システムの存在を実感する。ステアリングの反応が一貫せず、回頭が僅かに不自然なことがある。しかし、それ以外は至って自然。信頼感を抱け、運転を楽しもうと思える。優れた乗り心地も、それを後押しする。

コーナーを意欲的に克服する場合、アヴェンタドールでは慣れが必要だった。しかし、ややグリップ力が減り、路面の感触は薄れたものの、明らかに攻めやすい。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

理想的なリムの太さのステアリングホイールには、2時と10時の位置にコブがあり、握りやすい。シフトパドルは驚くほど巨大で、常に弾きやすい。

新しいデュアルクラッチATも素晴らしい。セミATと異なり、トルク伝達が中断されることなく、最先端のスーパーカーらしい加速を披露する。これまでのギアが繋がった時のショックも、豪快で魅力的ではあったけれど。

2033mmの全幅と、コルサ・モードで開放される1015psには、注意が必要。扱いやすいが故に、ふとメーターを見たら想像より50km/h速かった、という場面もあるかも。グループCカーのようだ。

スポーツ・モードでも、スタビリティ・コントロールは自由を許す。濡れた路面では、予想以上にテールが流れる可能性がある。アヴェンタドールより後輪駆動感が強く、表現力も豊かだ。

最新のレヴエルトは、悪魔的なランボルギーニだといえる。V12エンジンを積んだ歴代以上に乗りやすく、自制は必要。だが、シャシーの限界へとドライバーを誘う。最高速度は349km/h。誘惑されすぎは厳禁だ。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)のスペック

英国価格:44万6742ポンド(約8935万円)
全長:4947mm
全幅:2033mm
全高:1160mm
最高速度:349km/h
0-100km/h加速:2.5秒
燃費:8.4km/L
CO2排出量:276g/km
乾燥重量:1772kg
パワートレイン:V型12気筒6499cc 自然吸気+トリプル電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:1015ps/9250rpm(システム総合)
最大トルク:109.4kg-m/6750rpm(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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