小さいのにド迫力 全長4.0m「近未来的オフロード車」 ジャガー出身デザイナー最新作が公開

公開 : 2024.06.07 06:05

ジャガー出身の著名デザイナー、イアン・カラム氏が手掛けた小型電動オフロード車「スカイ」がロンドンで実車公開された。全長4047mmとコンパクトながら人目を引く美麗なフォルムが特徴的。2026年より生産開始予定。

2026年より少量生産

欧州の著名な自動車デザイナーが小型の電動2+2オフローダー「スカイ」を公開した。2026年夏から生産開始予定だ。

ジャガー出身のデザイナー、イアン・カラム氏率いる英国のデザイン会社カラム(CALLUM)が開発したEVで、2基の電気モーターと42kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は275kmとされる。最高出力250ps、最大トルク30.5kg-m、0-100km/h加速4秒以下を誇る。

ロンドンで公開された「スカイ」のプロトタイプ
ロンドンで公開された「スカイ」のプロトタイプ    AUTOCAR

年間50台から250台が生産される予定で、価格は8万ポンド(約1600万円)から11万ポンド(約2200万円)。

ロンドンで一般公開された際、イアン・カラム氏はAUTOCARの取材でこう語った。「単なる小綺麗な街乗り車ではなく、本格的なオフロード性能を備えています。当社はこのプロジェクトに2年間取り組み、プロトタイプの開発に着手する準備が整いました。2年以内に生産に入るでしょう」

「米国の西海岸にインスパイアされたクルマです。オフロードカーであり、サンドカーであり、マッドカーでもある。西海岸には多くのお客様がいらっしゃると思います」

カラム氏によると、同車は柔軟性を重視した設計で、オフロードまたはオンロード性能に特化した2種類のボディスタイルから選択できるという。オフロード仕様車は車高が高く、サスペンショントラベルが最大100mmとなる。オンロード仕様では内装の高級感をさらに高めている。

オプションで急速充電器を付けることができ、10分以内にバッテリーをフル充電できるという。

大胆なフォルムは車両の「能力」を表現したものであり、ドア開口部を囲む力強い「アクセント・ループ」をデザインのベースにしている。サイドドアの上下はガラス張りになっている。

全長4047mm、全幅1900mmと、Bセグメント車に相当するサイズだ。

頑丈な本格オフローダー

シャシーは頑丈なスチール製スペースフレームで、十分な最低地上高と特注の独立サスペンションの可動域を確保。複合素材の軽量ボディにより車両重量1150kgを実現し、EVとしては非常に軽い部類に入る。

シャシーコンポーネントの大部分は自社開発だが、バッテリーと電気モーターは外部のサプライヤー(匿名)から調達している。

「スカイ」のインテリア
「スカイ」のインテリア    カラム

カラム社のエンジニアリング・ディレクターであるアダム・ドンフランチェスコ氏は、同車の走行性能について「どれだけ速く走れるかではなく、ステアリングやサスペンションのフィーリングが良い、 “ターマックのラリーカー” のようなものを目指しています」と述べた。

インテリアはミニマリズム重視のデザインとなっており、かつてイアン・カラム氏が担当したジャガーFタイプに似た、回転ダイヤル付きのセンターコンソールが特徴だ。ダッシュボード上部には、スマートフォンのミラーリング機能を備えた10インチのセンタータッチスクリーンが設置されている。

ベンチシート型の後部座席は子供が座れる大きさで、リアのテールゲートを開くとトランクにアクセスできる。

「可能な限り使いやすいクルマにしたい。クラシック・ポルシェの室内は、多くの人にとってクルマを楽しむのに十分な広さだと思います。ある意味、それがわたし達のサイズ基準になっています」とイアン・カラム氏は言う。

イアン・カラム氏は2019年のジャガー退社後、自身の名を冠したカラム(CALLUM)というデザインおよびエンジニアリングの専門会社を設立した。これまで複数のプロダクトデザインを手掛けてきたが、オリジナルの車両開発はスカイが初めて。

カラム社のスタッフは現在20名を超えているが、イアン・カラム氏は常に「小規模で機敏」な体制を目指しているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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