プジョー308シエロ / 308SWシエロ

公開 : 2014.12.22 23:30  更新 : 2021.10.11 09:11

センター・コンソール上のスイッチでスポーツ・モードを選ぶと、まずはエグゾースト・ノートがさらに官能的なものに変わることに気づく。とはいえそれはスピーカーから届く、人工的なサウンド。最初からそう説明されていなければ、誰もがリアルなエグゾースト・ノートと感じるほどに自然な、そして魅力的なチューニングが施された音がキャビンに届く。

130psの最高出力、そして230Nmの最大トルクは、1320kgの車重に対しても十分な性能だった。アクセル・レスポンスの良さと、低速域でのトルクフルな印象は、このエンジンが最大の魅力とするもの。オーソドックスなトルコン方式の6速ATの動きもスムーズで、これならば日本のカスタマーをも、十分に納得させることができるだろう。

続いて試乗した308SWも、グレードは “シエロ” だった。ちなみに308SWは、全モデルが205/55R16サイズのタイヤを標準装着する。したがってスタートした直後には、先に試乗した308シエロよりも、さらにフラットな乗り心地が感じられ、加えて前後シートの座り心地、ホールド性も素晴らしいから、長時間のドライブでも疲れは最小限に抑えられるだろうという期待感を高めてくれる。

308SWの持つ機能性をフルに使うのは、日本の一般的なライフ・スタイルではかなり難しそうだ。308でも420ℓと、先代比で20%以上も容量が拡大されたラゲッジ・ルームであったのに、さらに大きな308SWのそれは、後席を収納することで、最大で1660ℓにまで容量を拡大することが可能なのだ。ボディ・サイズ、そして外観から想像する以上に大きく、実用的なスペースが308SWにはある。

車重は若干重くなるが、1.2ℓターボ・エンジンは、変わらず308SWの走りを魅力的なものに演出してくれていた。今回の試乗では、例の広大なラゲッジ・ルームを使用することはなかったが、いわゆる空車の状態でも乗り心地には十分な節度が感じられた。ワインディングでのスタビリティも素晴らしい。もちろんその好印象は、高剛性と低重心という、新型プラットフォームの特長にこそ、その第一の理由があることを忘れてはならない。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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