クルマ好き必見、スウェーデン観光スポット「ワールド・オブ・ボルボ」 北欧随一の自動車博物館

公開 : 2024.06.08 18:05

「見る」だけでない体験型施設

とはいえ、展示物の鑑賞にはチケット購入が必要だ。そして、入ってすぐにクルマを見られるわけではなく(展示車両は後述)、一連のインタラクティブな展示から始まる。ご心配なく。思った以上に楽しいものだ。

まず、シートベルトから衝突実験用ダミーまで、ボルボがどのようにして安全システムや技術を開発したかを紹介する展示がある。

ショベルカーの操縦を体験できるなど、展示品を「見る」だけではないのが特徴だ。
ショベルカーの操縦を体験できるなど、展示品を「見る」だけではないのが特徴だ。

特筆すべきは、シートベルトによって命を救われた人々の肖像画の前を、彼らのストーリーを聴きながら歩くコーナーだ。また、ラムダセンサー(O2センサー)の歴史を振り返るコーナーや、バス・シミュレーターで立ち乗りの乗客としてバランス感覚を試すコーナーもある。

別の展示では、脇見運転の危険性を体験するシミュレーターがあり、スピードを出しながら大きなタッチスクリーンでタスクをこなすよう要求してくる。電動ショベルカーでボールプールをかき回したり、風洞を体験したりすることもできる。

あるアート作品では、巨大な曲面スクリーンを使い、来場者の動きに応じてさまざまな形や視覚効果を生み出す。

「ボルボがクルマだけではないことを来場者に伝えたい」とヴラーメ氏は言う。

「ボルボというブランドは人間中心であり、テクノロジーをどのように使えば人々を助けることができるか、ということを紹介しています」

さて、ここからはワールド・オブ・ボルボ・ミュージアムに展示されている車両を一部ピックアップして紹介しよう。

ボルボOV4(1927~1929年)

ボルボ初の自動車。OV4(オープン・キャリッジを意味するOppen Vagnの頭文字と、エンジン気筒数を指す4を組み合わせた名称)の10台のプロトタイプが、ヨーテボリ移転前にストックホルムで生産された。

ショーモデルではリアアクスルのギアの取り付けが誤っていたため、テスト走行で逆走しかできなかった。希望小売価格の高さもあり、消費者はスウェーデンでオープンカーの購入をためらった。ボルボは1940年代まで自動車で利益を上げることはなかった。だからこそボルボ・カーズの歴史は、初めて利益をもたらしたボルボ・グループの商用車を抜きにしては語れないのである。

ボルボOV4(1927~1929年)
ボルボOV4(1927~1929年)

ボルボLV4(1928~1929年)

プラットフォーム共有の概念はこの時代からすでに存在した。OV4が苦戦したため、ボルボはLV4トラックを生産して多角化を図った。OV4と同じ最高出力28psのエンジンを使用したが、シャシーは強化している。500台の初期生産分は半年で完売し、ボルボの経営を支えた。

ボルボLV4(1928~1929年)
ボルボLV4(1928~1929年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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