航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 「ゴーカート」感なSUV

公開 : 2024.06.25 19:05

大幅にサイズを拡大したカントリーマン BMW iX2と基礎骨格やパワートレインを共有 スタイリング以上に印象的なインテリア 鋭く滑らかな加速に引き締まったコーナリング 英国編集部が評価

BMW iX2と基礎骨格とパワートレインを共有

モデルチェンジ毎にボディが拡大するのは、近年の常識かもしれない。だが新しいカントリーマンは、それ以上の変化を遂げた。先代より大きいだけでなく、ミニ史上最大。しかも、トップグレードなら最もパワフルだ。

新世代では、バッテリーEVも選択できる。欧州では、このクラスの電動モデルが増えつつあるが、充分な存在感を示せる特徴的な見た目をまとう。

ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(英国仕様)
ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(英国仕様)

電動のパワートレインは、ミニ・ブランドへ良く似合う。高級感を漂わせつつ親しみやすい雰囲気は、電気モーターが叶える活発で静かな走りと調和する。レトロ感を巧みに取り入れたインテリアも、訴求力は低くない。

英国へ導入される、電動のカントリーマンは2種類。駆動用バッテリーの容量は64.6kWhで共通し、ベース仕様がシングルモーターのEで、最高出力は203ps。前輪駆動となり、航続距離は460kmがうたわれる。

今回試乗した方が、SE オール4。ツインモーターの四輪駆動になり、システム総合で312psへ上昇する。0-100km/h加速は5.6秒と、Eより3.0秒も鋭いが、航続距離は428kmへ短くなる。これ以上に長距離を走れるライバルが、同クラスには存在する。

カントリーマンは、新世代の電動ミニ・ファミリーのトップバッターだが、プラットフォームはBMWグループのUKLを採用。ハッチバックのクーパー Eや、クロスオーバーのエースマンなどとは異なる。

これは、内燃エンジンにも対応した設計が特徴で、BMW iX2なども基礎骨格とするもの。電動パワートレインも、それらと共有している。

スタイリング以上に印象的なインテリア

先述の通り、カントリーマンは歴代のミニで最大になり、本当のファミリー・クロスオーバーへ成長した。スッキリとしたスタイリングは、ミニらしさを残しつつ、現代のトレンドも融合。ショッピングモールの駐車場での主張もバッチリだ。

インテリアは、スタイリング以上に印象的だろう。試乗したエクスクルーシブ・グレードでは、明るめのカラーでコーディネートされ、ミニマリストでレトロフューチャーな雰囲気。他に、クラシックとスポーツの2グレードが選べる。

ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(英国仕様)
ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(英国仕様)

前列・後列ともに空間にはゆとりがあり、足もとの前後長も充分。背が高めの大人でも、窮屈には感じられないはず。

内装の素材は、リサイクル性を強く意識したもの。ダッシュボードを覆う布地は温かみがあり、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)仕様のスポーティな雰囲気より、カントリーマンには向いているように感じた。

車載機能の多くは、ダッシュボード中央に据えられた、円形のOLEDタッチモニターで操作する。メーター用モニターは備わらず、スピードなどもタッチモニターの上部へ表示される。オプションのヘッドアップディスプレイの追加は、良い選択かもしれない。

運転体験の印象へ変化を与える、8種類のエクスペリエンス・モードは新しい機能だろう。タッチモニターのグラフィックが変化するほか、例えばタイムレス・モードでは、1959年に発売された初代ミニを模した、4気筒エンジン風の人工音も再生される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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