【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション

公開 : 2024.06.25 17:45

ライバルは身内ではなくドイツのアイツ

個人的にベストな現行ディフェンダーはインジニウム直6ディーゼルのMHEVユニットを搭載している110X D300である。

ディフェンダーの伝統的なキャラクターであるラフで気取らない雰囲気と、それでもプレミアムな部類に含まれる現行ディフェンダーに求められる品格や動的質感がちょうどいい具合に調和しているからである。

ランドローバー・ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
ランドローバー・ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション

調和という意味では、110 V8はちょっとだけ半端なのである。動力性能を持て余しているような感じがあるし、あとは110Xより2サイズ幅が広い275幅のタイヤが生み出す設地感高め、重めのステアリングフィールもディフェンダー特有の軽快感をスポイルしていると思う。

その点90 V8は敢えて調和を崩してかかるような大胆なアプローチが逆に唯一無二の個性になっていると思う。

とはいえランドローバーがディフェンダーのV8モデルで狙っているのは、黒っぽい上級モデルになると3000万円超えも珍しくないメルセデスGクラスであるに違いない。であれば目いっぱい盛装した110 V8でもはるかにリーズナブルといえる。

そして筋肉付きすぎ系というか、決して滑らかとはいえないGクラスのハンドリングと比べれば、ディフェンダー110 V8のそれはクルマ好きの琴線に触れる本質的な楽しさを含んでいる。

サテン仕上げのカルパチアングレイと目が覚めるようなV8の加速が気に入ったのであれば、ランドローバー・ディフェンダー110のV8カルパチアンエディションは買いなのだと思う。

試乗車のスペック

価格:1685万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm
駆動方式:AWD
車両重量:2450kg
パワートレイン:V型8気筒DOHC 4999cc+スーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:525ps/6500rpm
最大トルク:63.73kg-m/2500~5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:275/45R22(フロント)275/45R22(リア)

ランドローバー・ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
ランドローバー・ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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