フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ

公開 : 2024.06.15 20:25  更新 : 2024.08.04 03:15

改良版トゥアレグの手頃なPHEV仕様は、V6ベースらしい力強さや意外にも良好なハンドリング、なめらかで快適な走り、優れた実用性に満足できるものの、PHEVに期待される経済性はもう少しがんばってほしいところです。

はじめに

フォルクスワーゲントゥアレグは、独特なフルサイズSUVだ。現行モデルで3世代を数えるが、メルセデスがSクラスを、アウディがA8をそう位置付けてきたように、新技術のテストベッドという役割を担わされてきた。

にもかかわらず、はたまた仰々しいエンジンを積んでさえというべきか、かなりつつましく、控えめで、実用本位なクルマという印象だ。メカニズム的にはポルシェカイエンアウディQ7の親類だが、キャラクターはランドローバー・ディスカバリーや旧型のボルボXC90の仲間といったところか。

テスト車:フォルクスワーゲン・トゥアレグ3.0TSI eハイブリッド 4モーション・エレガンス
テスト車:フォルクスワーゲン・トゥアレグ3.0TSI eハイブリッド 4モーション・エレガンス    JACK HARRISON

絶頂期には年間10万台近くがスロバキアのブラスチラヴァ工場から送り出され、ディーゼルだけでもV6からV10、ガソリンではW12まで選べたトゥアレグ。2006年にはボーイング747を牽引するというデモンストレーションを行ったが、その機械的な要素や、なにができるか、どこを走れるか、どのように使えるかという、現実的な部分に魅力の源泉があるクルマで、見栄えや高級感に心くすぐられるプレミアム系やファッション系のSUVとは一線を画する存在だった。

いまやMQBベースでアメリカ生産の安価なアトラスという弟分が登場し、トゥアレグの立場は小さくなったかに見える。しかし、戦略的な重要性はいまだ衰えていない。また、成長分野もまだある。今回テストするeハイブリッド仕様は、そこに当てはまるだろう。

トゥアレグのPHEVは、2021年に追加された最上位モデルのRが最初。2023年のマイナーチェンジでは、第2のPHEVである今回のeハイブリッド・エレガンスが登場した。Rよりは安価で、ディーゼルに代わるハイブリッドを欲するユーザーにも多少は手が届きやすいと思わせてくれる仕様だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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