フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ

公開 : 2024.06.15 20:25  更新 : 2024.08.04 03:15

結論 ★★★★★★★☆☆☆

過度にスポーティなスタイルやデザイン、場違いなパフォーマンスを追求するようになってきているSUV市場で、トゥアレグのような円熟味のあるクルマをそのまま生かし続けることはチャレンジであるに違いない。それでも、フォルクスワーゲンはそれを成し遂げた。

この新しいガソリンハイブリッドモデルのポジショニングには、どこか古典的なフォルクスワーゲン的なものがある。PHEVのテクノロジーを、最廉価版でなければディーゼルでも下回れない価格で提供するのだ。その結果として生まれたのは、ライバルより速さや低エミッション性、EV航続距離では劣る電動化SUVではあるが、実用的で見た目は控えめに感じられるクルマだ。

結論:バーサタイルで好ましい、肩肘張らないクルマ。とはいえ、経済性重視なら必ずしも食指が動かない。
結論:バーサタイルで好ましい、肩肘張らないクルマ。とはいえ、経済性重視なら必ずしも食指が動かない。    JACK HARRISON

たまにオフロードを走ったり、トレーラーを牽引したりもして、快適でかゆいところに手が届く。日常遣いも、俊敏な動きも難なくこなし、必要とあればそこそこのスピードとハンドリングも得ることができる。

特別物欲を刺激したり、節約になったりするわけではないので見過ごされがちなクルマかもしれないし、その気持ちはよくわかる。しかし、あまり主張しないながらも能力と正真正銘のバーサタイル性を持ち、ニーズに合うならおすすめできる物件だ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

フルサイズSUVで、トゥアレグほどクラスレス感のあるものは多くない。スペックによっては、1980年代のメルセデス・ベンツEクラス・ワゴンや、初代ランドローバー・ディスカバリーを思い起こさせる。どこにでも乗っていけて、乗り手が品定めされる要素にならないクルマだ。

イリヤ・バプラート

いつも不思議なのは、フォルクスワーゲンくらいの大企業が、重要な性能ターゲットを外すのかということ。このクルマなら、CO2排出量がもう数g/kmよければ、更なる税制優遇が受けられるのに。これが本当に、このパワートレインの限界性能なのかもしれないけれど。

オプション追加のアドバイス

自宅に安価な充電環境がないなら、選ぶべきはPHEVではなくディーゼルのTDI。これに1705ポンド(約34万円)のエアサスペンション、1140ポンド(約23万円)のヘッドアップディスプレイ、1890ポンド(約38万円)のヴァレンナレザーを張ったコンフォートシートを追加したい。

改善してほしいポイント

・エアサスペンションは標準装備化を。
・駆動用バッテリー容量を拡大して、EV航続距離延長を。
・マーケットにおける地位向上に見合った、斬新なデザイン要素がほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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