フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ

公開 : 2024.06.15 20:25  更新 : 2024.08.04 03:15

走り ★★★★★★★★☆☆

PHEVのフルサイズSUVとしては手頃な価格帯であるものの、ベースエンジンはマルチシリンダー。レクサスRX450h+やメルセデス・ベンツGLE400e、ランドローバーディフェンダーP300eなどをはじめ、ダイレクトに競合するモデルは多くが4気筒ベースだ。それだけに、加速ペースは順調なはずだ。

たしかに、4気筒ベース車のいくつかと比べて、加速性能はやや上回る。0-97km/hはよく晴れたドライコンディションで6.2秒だが、おそらく0-100km/h公称値の5.9秒より多少早いタイムも出るはずだ。とはいえ、トルクコンバーターATとトルセン式センターデフという、とくに弾けるような発進加速を生む駆動系ではない。また、変速ありの中間加速は48-113km/hが5.7秒で、RX500hの5.5秒にはわずかながら遅れるが、レンジスポーツD300の6.6秒よりはかなり力強い。

V6ベースのハイブリッドは力強く、バッテリー充電を使い切ってもパフォーマンスの大きな低下はない。
V6ベースのハイブリッドは力強く、バッテリー充電を使い切ってもパフォーマンスの大きな低下はない。    JACK HARRISON

電気モーターが効率的にパワーデリバリーのギャップを埋めてくれて、トルクの満ちた感がある。停止かごく低速での走行からスロットルペダルを踏み込んでいくと、電気モーターはややそっけなく、トルクはギアボックスやディファレンシャルのフリクションと戦いながら進んでいくが、トゥアレグの加速には奇妙なほど一貫したところがある。たとえば3速での中間加速では、97-129km/hと48-80km/hの差が、0.8秒しかないのだ。

パフォーマンスの強さも印象的だ。バッテリー残量が完全に尽きた際にスタンディングスタートを再計測したが、ハイブリッドシステムが大きく貢献していたと言えるほどのタイム低下は見られなかった。

8速ATの変速は極めてスムースで、パドルに対する反応も素早い。ブレーキペダルのフィールは十分にプログレッシブで、効きはじめの不自然さはひどくない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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