フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ

公開 : 2024.06.15 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

テスト車のウェイトとサスペンションの仕様だと、乗り心地はおとなしく安定したものから、ややそわそわして忙しないものまで、路面状況によって変化する。

騒音と振動はおおむねうまく遮断している。温暖で穏やかな気候のテストコースで計測した80km/h巡航時の室内騒音は62dBA。レンジ・スポーツD300は60dBAとこれより静かだが、BMW X5 50eは65dBA、アウディQ8 50TDIは62dBAと、同等以下だ。

上質で快適なクルージングと、落ち着いた乗り心地を可能にするトゥアレグだが、不整路面ではその限りではない。
上質で快適なクルージングと、落ち着いた乗り心地を可能にするトゥアレグだが、不整路面ではその限りではない。    JACK HARRISON

トゥアレグのハイブリッドパワートレインは、スムースさや静けさ、上々のマナーなど、ほとんどの部分でドライビング体験のバックグラウンドにしっかりと存在している。

すでに述べたように、フロントシートの出来は非常にいい。調整機能に優れ、サポートがよく、クルマのキャラクターどおりスポーティに寄りすぎていない。視認性もよく、360度パーキングカメラのバックアップもある。ただし、このデバイスは850ポンド(約17万円)のオプションの一部だ。

ちょっと残念なのは、あまりにも不整路面がひどいと、穏やかな感じが消えてしまいがちなこと。これは標準装備のパッシブダンパーとスタビライザーが、横方向の身じろぎや乗員のヘッドトスを、乗員が快適に感じるレベルをちょっと超えてしまうのだ。

これは変わりようのない問題ではなく、1705ポンド(約34万円)のオプションであるエアサスペンションを装備すれば楽に解決できるだろう。乗り心地重視なら、ぜひとも追加したい装備だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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