ケータハム新社屋、生産能力50%増強 「セブン」年間750台出荷 新市場開拓も

公開 : 2024.06.10 18:05

ケータハムが新社屋を開設した。年間生産能力が50%増の750台となり、多くの注文を受けられるようになった。米国など新市場へも目を向けている。

新社屋が「ゲームチェンジャー」に

軽量スポーツカー「セブン」で知られる英国のケータハムは、数百万ポンドを投じて新しい拠点を開設し、生産能力を50%向上させた。これにより「もう顧客を追い返す」必要がなくなると、ボブ・レイシュリーCEOは語った。

新社屋は英ケント州ダートフォードの旧工場からほど近い場所に位置し、「あらゆる面でビジネスを変革」する「ゲームチェンジャー」と称される。

英ケント州ダートフォードで開設したケータハムの新社屋
英ケント州ダートフォードで開設したケータハムの新社屋    ケータハム

車両を組み立てるビルド・ステーションを従来の22か所から33か所に増設したことで、年間750台のセブンを生産できるようになった。

「以前は、600台の注文があっても500台しか生産できなかったので、お客様をお断りしなければなりませんでした」とレイシュリーCEOは言う。

「750台まで生産台数を増やしたことで、米国など生産能力の関係で抑えていた市場を開拓することも可能になりました」

旧工場に近いことから、130人の従業員、特にメカニックやエンジニアも確保しやすかったようだ。

新社屋にはケータハムを所有する日本のVTホールディングスが資金を提供し、9か月かけて完成した。5000平方メートルの敷地には、新しい工場フロアのほか、モータースポーツ部門と営業部門も置かれている。

これらすべてを1つ屋根の下に置くことで「より効率的で合理的」な事業が可能になり、またケータハムというブランドが「これまで以上につながりを感じられる」とのこと。

VTホールディングスの高橋一穂CEOはケータハムの新社屋について次のように語っている。

「非常に嬉しい。この近代的な施設は、英国を代表するスポーツカー・ブランドであるケータハムに対するVTホールディングスの揺るぎない献身と支援を示すものです」

「この新拠点から、ますます高品質な車両を世界中のお客様にお届けできることを誇りに思っています」

新社屋ではセブンのシリーズを生産するが、ケータハム初のEV「プロジェクトV」の市販バージョンの生産はサードパーティが担当する。

初の市販EVはどこで作る?

以下、ケータハムCEOのボブ・レイシュリー氏へのインタビュー。

――750台以上の生産は可能ですか?

ケータハムのボブ・レイシュリーCEO
ケータハムのボブ・レイシュリーCEO

「ケータハムのクルマはすべて手作業で作られています。スタッフ1人の仕事量が増えてしまうので、拡大することはできません。年間1000台以上に拡大すると、ホモロゲーション(型式認証)の問題も出てきます」

――プロジェクトV(同社初のEV)をどこで生産するかは決めていますか?

「英国で生産することを望んでいましたが、そのためには国内の経済状況が適切でなければなりません。そのため、海外へ目を向けています。年間2000台を生産できる企業は限られており、英国にあるのはそのうちの数社だけです」

――生産台数が増えるということは、将来のプロジェクトに向けた資金も増えるということですか?

「その通りですが、まずは工場への多額の投資を支える追加収益が必要です。その後、将来に目を向けることができます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事