2024年版 使い勝手バツグンで「走り」も良い欧州ミニバン 10選 合理的で快適な1台

公開 : 2024.06.16 18:05

4. フォルクスワーゲンID.Buzz

長所:快適な居住空間、洗練された走り、初代タイプ2の輝き
短所:高価格のため手が出しにくい、室内の柔軟性に欠ける、もっと小さくてもいい

フォルクスワーゲンID.Buzz(IDバズ)は、登場前からミニバン界隈で最も期待されていたモデルの1つだった。ID.4やID.5と同じMEBプラットフォームを採用しており、マルチバンと同様に乗用車感覚で乗れる。

4. フォルクスワーゲンID.Buzz
4. フォルクスワーゲンID.Buzz

欧州では5人乗りの標準バージョンと、2+1人乗りの商用車バージョン「カーゴ」がある。キャンピングカーのバージョンはまだなく、7人乗りももう少し待たなければならない。

床下に77kWhのバッテリーが搭載され、公称航続距離は最長410kmと特に目立つものではないが、最大170kWの急速充電に対応している。

今のところ、最高出力204psのシングルモーターのみ搭載されているが、デュアルモーターの「GTX」がラインナップに加わるまでそう時間はかからないだろう。GTXは2基のモーターを使用する四輪駆動モデルで、合計出力340psを発生する。大容量の110kWhバッテリーを搭載したロングホイールベース・バージョンも間もなく登場する。

フォルクスワーゲンの伝統的なタイプ2の信者であろうと、従来のミニバンユーザーであろうと、ID.Buzzは電動ファミリーカーとして多用途性を第一に考えた魅力的なパッケージとなっている。

1つ難点があるとすれば、それは価格だ。5万9039ポンド(約1180万円)からと、フォルクスワーゲンで最も高価な部類に入る。

とはいえ、ワイヤレスのアップル・カープレイやアンドロイド・オート、バックカメラ、ステアリングヒーター、シートヒーター、LEDヘッドライトなど、優れた装備が標準で備わっている。

5. フォード・トルネオ・コネクト

長所:開放感のある広々とした室内、シートを取り外せば荷物も積み放題
短所:貧弱なインフォテインメント・システムとエアコン、ゴツゴツした乗り心地

最近、欧州フォードとフォルクスワーゲンの共同開発モデルが続々と登場している。注目を集めるのはピックアップトラックのレンジャーだが、時系列的にはトルネオ・コネクトが先である(もっと時代を遡れば、90年代半ばのシャランとギャラクシーも兄弟車)。

5. フォード・トルネオ・コネクト
5. フォード・トルネオ・コネクト

先代モデルの才能を引き継ぎながら、広さと多用途性、ダイナミクスに磨きをかけた。フォルクスワーゲンのMQBプラットフォームを、フォードの技術者が丁寧にチューニングし、驚くほど安定感のある豊かなフィールに仕上げている。パワートレインは1.5Lガソリンと2.0Lディーゼルに限られるが、どちらも十分な加速力を見せてくれる。

ボディタイプとしては標準の5人乗りと、ロング版の7人乗りから選ぶことができる。どちらも広い室内空間と便利な収納を備え、スライド式のサイドドアにより実用性を高めている。7人乗り仕様では、2列目・3列目の座席を取り外すと3100Lもの大空間が生まれる。クライメートコントロールやアップル・カープレイをはじめ、上級グレードグレードにはシートヒーターやキーレスゴー機能が搭載されるなど、装備も充実している。

ただし、インテリアのデザインにはフォルクスワーゲンらしさが強く感じられる。見た目はスマートで素材の質感も悪くないが、タッチセンサー式のヒーターコントロールに照明がないのは残念である。夜は使いづらく、暗闇の中を手探りで温度調節するしかない。レーンキープアシストが標準装備されているのがせめてもの救いだ。

確かに気になる点はあるものの、実用面での魅力を曇らせるほどではない。また、例によって「Ford」ではなく「VW」のエンブレムが好きだという人には、兄弟車のキャディがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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