ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい

公開 : 2024.06.21 19:05

ポルシェらしい硬めの乗り心地 車内は狭め

乗り心地も、ステアリングと同様にポルシェらしい。アダプティブダンパー付きのエアスプリングが標準で、基本的には硬めながら、速度の上昇とともにしなやかさが増していく。メルセデス・ベンツEQEとは対極的といえるが、快適だといっていい。

ポルシェ・アクティブライドは、ベースグレードのタイカンには装備できない。路面との追従性や安定性を高める技術だが、スペインで試乗した限り、想像するほど顕著な変化はない様子。

ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリープラス(英国仕様)
ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリープラス(英国仕様)

車内へ目を移すと、インフォテインメント・システムが最新版に。ショートカット・メニューが表示され、エアコンには独立したタッチモニターが据えられ、重要な機能へのアクセス性が優れることは従来どおり。反応は稀に遅れるものの、充分素早い。

最新システムの特徴といえるのが、アップル・カープレイとの連携性が深まったこと。エアコンやトリップコンピューターなどの機能にも対応し、天気予報やミュージック・プレイリストなども表示できる。

インテリアデザインは、特別なレザーなどを指定しない限り、若干地味かもしれない。運転席からの視界は、もう少し広くて良い。特に後席側だが、車内空間はボディサイズを考えればもっと拡大できそうに思える。荷室容量はリアが407Lで、フロントが84Lだ。

他に例がない訴求力 1歩先ゆく存在

タイカンは、ベースグレードでもお手頃なわけではなく、英国では8万6500ポンド(約1730万円)から。少しオプションの載った試乗車は、9万6313ポンド(約1926万円)だった。それでも、同等の訴求力を備えるモデルは、他に例がないといって良いだろう。

BMW i4やi5、テスラモデルSも、それぞれ独自の強みは備える。しかし、長距離の快適性や一体感の強い操縦性、秀でた製造品質など、ポルシェらしいタイカンの強みは数多い。

ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリープラス(英国仕様)
ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリープラス(英国仕様)

今回のアップデートで、航続距離は一層伸び、急速充電能力も向上した。クラスの優等生は、さらに1歩先ゆく存在になったようだ。

ポルシェ・タイカン・パフォーマンス・バッテリープラス(英国仕様)のスペック

英国価格:9万6313ポンド(約1926万円)
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1379mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:4.8秒
航続距離:675km
電費:5.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2170kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:97.0kWh(実容量)
急速充電能力:320kW
最高出力:435ps
最大トルク:42.7kg-m
ギアボックス:2速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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