フィアット500が19年ぶりフルモデルチェンジ 新型ハイブリッド、2026年導入へ

公開 : 2024.06.12 06:05

フィアット500の新世代ハイブリッドモデル「500イブリダ」が2026年に登場する。2007年に登場した現行型は新しい規制への対応が厳しい。また生産効率向上のため、生産はイタリアへ移される。

イタリア生産の新世代ハイブリッド

イタリアの自動車メーカーであるフィアットは、小型車「500」の新しいハイブリッドモデルを2026年に発売することを明らかにした。およそ19年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

フィアットは声明で、新型「500イブリダ(500 Ibrida)」を2026年初頭までにデビューさせると発表した。イタリアのミラフィオーリ工場でEVモデルとともに生産されるようだ。

新型500イブリダはEVモデルの500eをベースとする見込み。
新型500イブリダはEVモデルの500eをベースとする見込み。    フィアット

従来のガソリンエンジン搭載モデルの500は2007年に登場し、ポーランドのティヒ工場で生産されている。新世代のEVモデル(500e)発売後も大きく変わらず販売が続けられてきたが、欧州の新規制への対応が厳しくなった背景がある。

新型500イブリダは、現行のマイルドハイブリッド1.0L 3気筒ガソリンエンジンを引き続き搭載する。しかし、プラットフォームは500eのEV専用プラットフォームに変更される見込みだ。

EVとして開発されたモデルにエンジンを後付けする動きは稀で、欧州の自動車業界では前例がない。

新型車導入については主に2つの理由が考えられる。

1つ目は、フィアット500eと兄弟車アバルト500eの販売が低迷する中、伊ミラフィオーリ工場の生産ペースを上げる必要があったことだ。フィアットは2月に同工場のシフトを減らし、販売が改善しない場合はラインを完全休止する方針だった。

2つ目は、人気のガソリンモデルを販売し続けるという課題だ。現行型は欧州連合(EU)が導入した新しいサイバーセキュリティ規制に抵触するため、大幅な改良が求められていた。

発売から17年経った今でも、ガソリンモデルの500は販売の主軸である。昨年欧州で販売された500(アバルト版を含む)17万3187台のうち、ガソリンは10万8943台だった。

フィアットのオリヴィエ・フランソワCEOは、イタリアでの500eの販売不振が今回の決定につながったことを示唆し、「ミラフィオーリの生産の90%は海外に流れている」と指摘した。

500の生産をイタリアに集中させることで、従来のポーランド工場の手が空くことになる。代わりにポーランドでは、フィアットの親会社であるステランティスが、中国企業リープモーターの新型EV「T03」の生産を間もなく開始する。

500イブリダには、イタリア生産のエンジン、マフラー、トランスミッションが使用される。

フィアットはまた、約1億ユーロを投じて500eのプラットフォームの改良計画を発表した。低コスト化を目的とした新しいバッテリー技術に対応させる。このことから、500eは2026年頃にアップデートされると予想されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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