LBXの影にしたくない! 小改良 レクサスUX 300hへ試乗 第5世代HVで198psに 喜び多き所有体験

公開 : 2024.06.26 19:05

第5世代のHVシステムで198psに 燃費も優秀

さて、今回のアップデートで獲得した第5世代のハイブリッド・システムは、最高出力が183psから198psへ上昇。本当に必要な人は限られるとはいえ、四輪駆動のE-フォーでは、リアアクスルを受け持つモーターが7psから40psへ変更されてもいる。

主役となるエンジンは、2.0L 4気筒の自然吸気ガソリンで変わりなし。だが、インバーターとトランスアクスルは新しい。駆動用バッテリーも、ニッケル水素からリチウムイオンへ切り替えられた。

レクサスUX 300h(英国仕様)
レクサスUX 300h(英国仕様)

その結果、UXの動力性能は明確に向上。余裕が生まれたことで、燃費も1.5km/L前後伸び、CO2の排出量も最大10g/km程度減っている。

市街地を走らせてみると、UX 300hは有り余るほどパワフル。高速道路の追い越し車線でも、まったく物足りなさはない。スポーティなドライブモードを選ぶと、郊外の道も気持ちよく飛ばせる。e-CVTが、不自然に回転数を高める仕草も抑えられている。

低速域では、駆動用モーターでの走行割合いが増え、その間はとても静か。今回は都市部から高速道路まで合計102kmを試乗したが、その内の57%がEVモードだった。燃費も、16.0km/Lへ届いた。

2024年仕様では、ボディ剛性を高めるべく、2本のブレースがシャシーへ追加されている。またスタビリティ・コントロールの制御を改め、E-フォーではリアタイヤへ伝わるパワー制御を改善。より軽快なコーナリングを実現したと主張される。

想像以上に運転を楽しめる 所有体験は喜びが多い

果たして、UX 300hは都市部を軽快に進める。グリップ力に優れ、郊外のカーブが連続する区間を意気揚々と駆け回れる。トランクリッドには複合素材を、ドアパネルにはアルミを用いることで、軽量化にも気は配られている。

傷んだアスファルトへの対応力も優秀。Fスポーツを指定すると、アダプティブダンパーが組まれるが、快適性や敏捷性に生じる変化は、さほど大きくないようだった。

レクサスUX 300h(英国仕様)
レクサスUX 300h(英国仕様)

レクサスのSUVは、英国では裕福な年配の方へ選ばれるイメージがある。しかし想像以上に、大胆に運転を楽しめる。パワートレインはノーマル・モード、ステアリングはスポーツ・モードという組み合わせが、ベストかもしれない。

3年間か9万6000kmの保証を、英国のレクサスは提供しているが、高い信頼性を考えると、活躍する場面は限られるかも。最長で、10年か16万kmまで延長も可能だ。

以前からUXは優れるコンパクトSUVだったが、今回のアップデートでさらに訴求力は高まったといっていい。後席と荷室の広さは限定的なままだが、パワフルさが増し、タッチモニターはとても扱いやすい。

英国価格は、約3万5000ポンド(約700万円)から約5万2000ポンド(約1040万円)の間。4万ポンド(約800万円)も払うなら、ドイツの上級ブランドがラインナップする、プラグイン・ハイブリッドを選ぶ人は少なくないだろう。

それでも、UX 300hの訴求力も低くはない。喜びの多い所有体験になることは、充分に予想できる。

◯:運転を楽しめるまとまりの良いシャシー 機能的で操作しやすいインフォテインメント・システム
△:サイズの割に狭い荷室 後席側ももっと広い方がいい

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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