「大胆で挑戦的」なロータス・エレトレ S 迎え撃つアウディSQ8 e-トロン 電動SUV直接比較(1)

公開 : 2024.06.22 09:45

欧州ブランドの電動EVとして、市場をリードしてきたアウディQ8 中国資本で新市場の開拓を目指した、ロータス・エレトレ S AUTOCAR史上初の2ブランド対決 大胆な1歩は報われたのか?

従来のラインナップとのギャップへ驚く

過去を遡って確かめたが、この2ブランドの直接比較は、AUTOCAR史上初で間違いないようだ。英国とドイツで、それぞれ独自の道を歩んできたロータスアウディは、これまで1度もサシで対峙することはなかった。

年末年始の恒例企画、2006年のベスト・ドライバーズカー選手権では、アウディR8とロータス2イレブンがノミネートし得点を競っている。その時はR8が総合力で勝った。2009年は、ロータス・エヴォーラがV10エンジンを積んだR8の得点を上回っている。

グリーンのロータス・エレトレ Sと、ブルーのアウディSQ8 e-トロン・スポーツバック・ブラックエディション
グリーンのロータス・エレトレ Sと、ブルーのアウディSQ8 e-トロン・スポーツバック・ブラックエディション

ロータス・エリーゼアウディTTという、競合クラスのスポーツカーも存在した。しかし時代は変化し、戦うカテゴリーも変化。バッテリーEVの大型SUVで、2つのブランドを比較する時が来るとは・・。

中国資本を後ろ盾に、ロータスは新たな市場へ踏み出した。バッテリーEVへ特化した高性能ブランドへ生まれ変わり、ライバルはポルシェメルセデスAMGBMW Mなど。もはや、われわれの記憶にあるライトウエイト・スポーツカー・メーカーではない。

何年間もの苦しい時期を経て、グレートブリテン島東部のへセルを拠点に、新たなプロジェクトへ真剣に向き合った。かくして、大きなエレトレが誕生した。従来のラインナップとのギャップへ、驚かずにはいられない。

高級車市場へ、もう少し慎重に参入するという方法もあっただろう。だが、いずれにしてもリスクは存在する。ロータスは、大胆な1歩へ打って出た。

大胆で挑戦的 大型SUVの枠で判断しても巨大

エレトレのボディは全長5103mm、全幅2135mm、全高1630mmで、車重が2540kgという巨体。電動パワートレインだけでなく、電動パワーステアリングに4枚のドア、エアサスペンションなど、ロータス初といえる内容で溢れている。

スタイリングも、過去のロータスとはまったく似ていない。ボンネットに貼られた丸いロゴを隠してしまえば、どこのメーカーのクルマなのか判断は難しいかもしれない。

グリーンのロータス・エレトレ Sと、ブルーのアウディSQ8 e-トロン・スポーツバック・ブラックエディション
グリーンのロータス・エレトレ Sと、ブルーのアウディSQ8 e-トロン・スポーツバック・ブラックエディション

実際に目の当たりにし、呆気にとられたとしても不思議ではない。しかし、高く掲げられた理想が表現された姿だとも受け止められる。従来の枠を越えて、世界的に多くの販売が見込めるカテゴリーへ進出するに至ったロータスの決断に、疑問はないだろう。

英国編集部が選んだ最大のライバル、アウディSQ8 e-トロン・スポーツバックと、筆者は丸1日をともにした。エレトレ Sの印象を簡潔にまとめると、巨大な「!!」だ。もちろん、大きなサイズで目立つからだけではない。

あまりにも大胆で挑戦的。ロータスによる挑発的なメッセージを、運転すれば感じ取れる。受け入れがたいという、古くからのブランドファンは多いと思うが。

エレトレの大きさには、SQ8 e-トロンの隣に並べると、改めて驚ける。このクラスの電動SUVの枠で判断しても。全高はそこまで違わないものの、全長は約180mmも長く、全幅は約80mm広い。小さく見せようという、意識も感じられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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