EVで強化 すこぶる実用的 ホンダ「Nバン イー」発表

公開 : 2024.06.24 17:45

2024年6月13日、本田技研工業は新型のEV軽商用バンである「Nバン イー」を発表しました。商用ユースを見据えてシングルシーターやタンデム仕様など”本気”で使える軽商用EVを目指したそうです。

コンセプトは移動蓄電コンテナ

ホンダの開発陣は「環境にやさしい」、「どこでも給電」、「自在に使える」という三つの柱を掲げており、早朝深夜の運送や電動工具の給電使用、ホビーでのアウトドアユース、災害時なども幅広く想定したとのこと。

本気で使える商用バンとして容量29.6kWhのバッテリーを搭載、航続距離245kmとEV軽バン史上トップクラスの性能を誇る。

充電&給電はフロントグリルから
充電&給電はフロントグリルから    小川和美

大きな容量のバッテリーをフロアに設置しているにもかかわらず、ホンダ車初採用となるパウチセル式バッテリーにより本体をコンパクト化。そのためフロアは低く抑えられており、ガソリンエンジンモデルのNバンと同様にフラットフロアを実現。

Nバンの実用性を犠牲にさらさず、EV化で一層磨きがかかっているという説明にもうなずける。

幅広いグレード設定、玄人志向も

今回、Nバン イーには4つのグレード設定がある。

最上級グレードの「e:FAN」は、ホビーユースを想定して快適装備を充実させた。エクステリアにもツートンカラーが設定されたり、ヘッドライトの意匠が異なるなど差別化されている。

左から「e:L4」と「e:FAN」、ツートンがカステラみたいで愛らしい。
左から「e:L4」と「e:FAN」、ツートンがカステラみたいで愛らしい。    小川和美

通常グレードといえる「e:L4」は一般的な四人乗り仕様だ。

ここからはオンラインストア「Honda ON」や一部法人契約限定のグレード。

長尺の荷物の積載を可能とし、更なる積載量を誇るシングルシート仕様「e: G」。そして縦2列のタンデム仕様「e: L2」なども設定している。

内装を見ても無駄なポケットや収納を削減し、限りなく”箱”に近づけ、デッドスペースを減らしている。

さすがに限定販売というだけあって完璧なプロ仕様となっている。

特筆すべきディテールたち

Nバン イーには特筆すべきこだわりのポイントがいくつも存在する。

専用のリサイクルグリル

Nバン イーに装着されるフロントグリルは、これまで生産してきたホンダ車のバンパーをリサイクルした樹脂を用いて作られている。

リサイクルしたフロントグリル、リサイクルマークがついた車は史上初では?
リサイクルしたフロントグリル、リサイクルマークがついた車は史上初では?    小川和美

これまでリサイクル素材の難点とされていた、白いフレークの混入をあえてデザインに。その取り組みを表すリサイクルマークも刻印されており、とてもチャーミング。

水冷式バッテリー

電池の消耗を気温に左右されないためにNバン イーでは、バッテリーが熱くなった場合に冷却するだけでなく、寒冷時には、冷却水をヒーターに通してバッテリーを温めるという。これにより、安定した航続距離性能の発揮に成功。

コンテナにインスパイアされたインテリア

トラックなどで運搬されるコンテナの側面部には、よく見ると縦縞が入っている。その縦縞をドアの内張りなどのインテリアに採用することで、より薄い素材でも強度を保つことができ、軽量化を実現した。同時に、移動蓄電コンテナというコンセプトの可視化にも成功したのである。

タイヤの13インチ化

従来のNバンではランニングコストなどの観点から12インチタイヤ仕様となっていた。しかしNバン イーでは、重量増加に対するブレーキ性能強化の観点から13インチとなった。大径化により足回りのセッティング領域が拡大、乗り心地が大幅に改善したという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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