【新型を欧州で試乗】 BEV版とICE版の新型シトロエンC3 ヒット作の次はどんな戦略で?

公開 : 2024.06.18 17:45

BEVの乗り心地はもはやBセグ基準としてはビヨンド体験

まだ市販前のプリプロ版ながら、83kW(113ps)のBEV、ついで1.2Lターボのピュアテック100のICEを走らせてみた。アドバンストコンフォートのシート&サスペンションが採り入れられ、Bセグとして快適性は突き抜けたレベルにある。

柔らかさやストローク量の多さで驚かすタイプの足まわりではないが、お馴染みPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)ダンパーが踏切やパッチ舗装の県道を70~100km/h域で駆け抜けても、サイクリストに囲まれて狭く荒れた道路を徐行するにも、1416kg(欧州発表値)の車体の動きを、ひたすら滑らかに受け止め続ける。

シトロエン新型C3へ欧州で試乗
シトロエン新型C3へ欧州で試乗    シトロエン

大げさでなくそれは「ハーシュネス・ゼロ」の世界で、低速域でかくも揺さぶられストレスのないBEVは初めてだ。加えてクルーズ中の落ち着きや静けさも、Bセグの車を走らせているとは体感的に信じがたいほどだ。

トルク感は必要十分、電気にしては控えめだが、重いマスを無理やり加速させるより、意外と息の長い加速をする。これは中低速域が太いICEのMT6速仕様よりも顕著なほどで、やはり1.4トンはBEVでは軽量級なのだ。

小さな動力源を優しく回して走らせていると、先に述べたようなインテリアの意匠もオーバーラップして、BEVなのに2CVのような感覚、少なくともその延長線上にあることに気づく。

ちなみに今回、MT仕様に用意されたブルー・モンテカルロとホワイトのツートンは、昔日の2CVからインスパイアされた外装色とのこと。無関係どころか、BセグEVの魅力化は今や、欧州車の本気なのだ。

試乗車のスペック

シトロエンe-C3(欧州仕様)のスペック

全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:135km/h
0-100km/h加速:10.4秒
航続距離:326km
電費:5.7km/kWh
車両重量:1416kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:43.7kWh(実容量)
急速充電能力:100kW
最高出力:112ps
最大トルク:12.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

シトロエンC3 ピュアテック100(欧州仕様)のスペック

全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:10.6秒
燃費:17.8km/L
CO2排出量:126-127g/km
車両重量:1151kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:100ps/5500rpm
最大トルク:20.8kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

シトロエン新型C3へ欧州で試乗
シトロエン新型C3へ欧州で試乗    シトロエン

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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