【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル

公開 : 2024.06.19 11:00  更新 : 2024.06.19 11:45

走りの違いを提示するホンダらしさ

では走りはどうか。取材会では現行型のハイブリッド、新型エアーのハイブリッド、新型クロスターのガソリン車という順で乗った。

現行型のハイブリッドシステムはDCTを使っているためもあって、変速しながらの加速が小気味よく、減速したいときに選ぶSレンジはギアを落として回転を上げるという仕掛けなのでスポーティではあるが、耳障りに感じることもあった。

ホンダ新型フリード「市販予定車」へ試乗
ホンダ新型フリード「市販予定車」へ試乗

それに比べると新型は、低中速では基本的にモーターで走るので、圧倒的に静か。変速がないのでシームレスでもある。とりわけ減速時に使うBレンジは、エンジンは回さず、回生ブレーキを強める方式となったようで、静かさが際立っていた。

フリクションロスや剛性バランスに気を配ったというプラットフォームは、明確な違いを感じた。乗り心地は荒さがなくしっとりしているのに、操舵に対する反応はカチっとしていて、操る楽しさが感じられる。

当日は雨模様だったが、現行型ではトラクションが抜けがちだった上りコーナー立ち上がりも、しっかり接地して加速していった。

最後に乗ったクロスターのガソリン車は、軽やかなエンジンサウンドが印象的。ホンダらしさを重視するなら、こちらもありだと思った。

車両重量はハイブリッド車より約100kg軽いそうで、乗り心地は路面の感触をはっきり伝えるようになり、コーナーでは軽快感が目立つ。ただし水たまりでの安定感は、ハイブリッド車のほうが上だった。

ガソリン車とハイブリッド車の走り味をそろえてくるクルマは多い。しかし新型フリードでは、重量差をあえてキャラクターの違いとして表現したとのこと。

実用性重視のコンパクトなミニバンで、走りの違いを提示してくるのはホンダらしいと思った。

判明している新型フリードのスペック

全長×全幅×全高:4310×1695(1725)×1755mm(値はクロスター)
駆動方式:FF/4WD
使用燃料:ガソリン
タイヤサイズ:185/65R15(フロント)185/65R15(リア)

・ハイブリッド
エンジン最高出力/最大トルク:106ps/13kg-m
モーター:123ps/25.8kg-m

新型フリード エアー(右はホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した車両)
新型フリード エアー(右はホンダアクセスの純正アクセサリーを装着した車両)

・ガソリン
エンジン最高出力/最大トルク:118ps/14.5kg-m

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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