メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待

公開 : 2024.07.01 19:05

ルノー7番目のSUVで、新領域進出を目指すフラッグシップのラファール 優雅なルーフラインに高級感の漂う車内 ボディ中心を軸に旋回する仕草はメガーヌ R.S.のよう? 英編集部が評価

優雅なルーフライン 高級感が演出された車内

ルノーから、ラインナップ7番目となるSUVが発売された。全長は4710mmあるが、強く意識されたのはアウディQ3BMW X2といった、1つ格下のプレミアム・クーペSUV。フランスのブランドを新たな領域へ導けると、首脳陣の期待は高い。

パワートレインはルノー独自のハイブリッド、E-テック。1.2L 3気筒ガソリンターボエンジンに、駆動用モーターとスタータージェネレーターを組み合わせ、システム総合で199psと41.6kg-mを発揮する。

ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)

運転席の下へ積まれる、駆動用バッテリーの容量は1.7kWh。短距離なら、エンジンを回さず走行もできる。

ラファールの特徴といえるのが、ファミリー・クロスオーバーでありながら、南フランスのエレガントさが香るようなルーフライン。長めの全長のおかげで、リアシート側の空間にもゆとりがある。

荷室容量は535L。テールゲートが思い切り傾斜し、高さ方向に制限はあるが、プジョー408より僅かに広い。

インテリアは、巧みに高級感が演出された。石材のような質感でダッシュボード上部が仕上げられ、内装にはリサイクル素材を利用したアルカンターラや、レザーが積極的に用いられている。

ただし、ブラック基調の配色もあって、少し薄暗く感じられた。グロスブラックのパネルは、雰囲気に水を指している。トリコロールのステッチは、目を凝らさなければ気づきにくいかも。

扱いやすい車載機能 不自然なトランスミッション

ダッシュボード中央に大きなタッチモニターが据えられるものの、ルノーは、そこへ過度に多くの機能を集約しなかった。エアコンには実際に押せるハードスイッチが残り、運転中でも気を散らさず操作できる。

ステアリングホイールには、運転支援システムのオン/オフボタンがある。クルーズコントロールとオーディオ用のスイッチも配される。従来通りの場所が好ましい。ステアリングホイール自体は握りやすい太さだが、だいぶ四角い。

ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)

確認はこのくらいにして、公道へ出てみよう。エスプリ・アルピーヌのグレードを指定しても、ラファールは速いクルマとはいいにくい。最高出力は199psあるが、車重は1714kgで、不足ないものの余裕は大きくない。

通常はエンジンが停まった状態で発進するため、初動を受け持つのは67psの駆動用モーターだけ。初めからエンジンも加勢すれば、活発に感じられるだろう。0-100km/h加速は8.9秒だ。

1.2L 3気筒エンジンの質感は、他メーカーのユニットと同等。サウンドに特徴があるわけではなく、高負荷時には息苦しいノイズが聞こえてくる。

トランスミッションは、クラッチを備えない特殊なオートマティックで、内燃エンジン側に5速、駆動用モーター側に2速が組まれる。オーストラルでは少し仕事が鈍く感じられたものの、新しいソフトウェアで改善されたようだ。

それでも、変速時には一拍置くような間合いがあり、ショックも小さくない。意図しないタイミングで生じるため、不自然に感じる人もいるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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