メガーヌ R.S.のように旋回? 新型ルノー・ラファールへ試乗 ドイツ銘柄からの顧客獲得へ期待

公開 : 2024.07.01 19:05

ボディ中心を軸に旋回 メガーヌ R.S.のよう?

ラファールの操縦性は良好。左右のタイヤの間隔、トレッドはオーストラルより20mm広く、タイヤサイズも10mm広い。ステアリングは30%クイックになり、専用サスペンションでボディロールは10%抑えたと主張される。

最大5度まで角度を変える後輪操舵システムを、エントリーグレード以外で標準装備。小さなハッチバック、クリオ(ルーテシア)に並ぶ、10.4mの最小回転直径を叶えた。

ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)

かくして、カーブの途中でアクセルペダルを踏み込んでも、粘るようにラインを維持。加速が始まっても、不安定になる素振りはない。ボディ中心を軸に颯爽と旋回し、トルクベクタリング機能を備えるメガーヌ R.S.のよう。というのは、褒め過ぎかもしれないが。

ステアリングの操作に対し、シャシーは機敏に反応。サスペンションは快適性を維持しつつ、ボディロールは驚くほど小さく、姿勢制御も褒められる。挙動を予想しやすく、安心して先を急げる。

ただし、ステアリングホイールへ伝わる感触は薄めで、運転を存分に楽しめるわけではない。ブレーキペダルの感触は一貫性が弱く、スイッチのように制動力が生じ、低速域では扱いにくく思えた。

ドイツ銘柄からユーザーを引っ張って来れるか?

乗り心地は全般的に快適。起伏が目立つ路面を、ゆったり走るような条件が得意といえる。反面、細かな入力が連続すると落ち着きが薄れる。酷く荒れた区間では、シートベースやステアリングコラムへ振動が伝わることもあった。

価格帯を考えれば、この辺りは改善されるべき。ソフトなスプリングと肉厚なタイヤを組み合わせた方が、上質さは増すはず。高速域では、風切り音とロードノイズも大きめに聞こえた。

ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)
ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)

追って、ラファールにはプラグイン・ハイブリッドも登場予定。リアアクスル用に駆動用モーターが追加され、四輪駆動で総合300psを発揮するという。動力性能は高まるはずだが、大きな駆動用バッテリーも載るため、走行時の洗練性は向上するだろうか。

ルカ・デ・メオ氏による新体制で、変化を遂げつつあるルノー。販売数を増やすうえで、SUVをフラッグシップ・モデルに据えるという方針は理解できる。新型のラグナが登場しても、人気を集めることは難しい。

気になる部分もなくはないが、ラファールは、競争の激しいクラスで存在感を出せる特徴を持つ。運転を充分に楽しめ、スタイリングも好印象で、英国では価格設定も意欲的だ。

幅広い年齢層から、注目を集める可能性は高い。果たして、ドイツ・ブランドからユーザーを引っ張ってくることはできるだろうか。

◯:リラックスして高効率に長距離移動できる 特徴的なスタイリング
△:ハイブリッドパワートレインの洗練度と物足りないパワー 走行時の質感はもっと磨き込める

ルノー・ラファール E-テック・テクノ・エスプリ・アルピーヌ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4495ポンド(約890万円)
全長:4710mm
全幅:1860mm
全高:1610mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:8.9秒
燃費:21.3km/L
CO2排出量:107g/km
車両重量:1714kg
パワートレイン:直列3気筒1197cc ターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:199ps(システム総合)
最大トルク:41.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:5速オートマティック+2速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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