「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう

公開 : 2024.06.22 19:05

ファンの多いミニが新世代へ進化 3ドアの呼び名はクーパーに 電気モーター版とほぼ同じ見た目 やんちゃで活発な子犬のよう らしさを近未来的に解釈した車内 英編集部が評価

電気モーター版とほぼ同じ見た目

欧州では電気モーター版へ注目が集まっているが、英国オックスフォードの工場では、馴染み深いエンジン版の新世代も生産が始まった。実は、ボディパネルの内側はまったく違う。だが、バッテリーEVの兄弟と、殆ど見分けはつかないだろう。

電気モーターで走るミニは、最新の電動パワートレイン用プラットフォームを基礎骨格とする。対して、1.5L 3気筒エンジンで走るミニは、BMW 1シリーズと同じプラットフォーム。3代目ミニの大アップデート版だと、いえなくもない。

ミニ・クーパー C(英国仕様)
ミニ・クーパー C(英国仕様)

1番わかりやすい違いは、フェンダーアーチ。内燃エンジン版には、黒いプラスティック製トリムが残されている。ドアハンドルも、ドアパネルへ埋め込まれていない。ヘッドライトの穴が空いた、クラムシェル・ボンネットも受け継いでいる。

プラットフォームが違っていても、ほぼ同じスタイリングを与えたのは、意図的なもの。パワートレインは、新しいミニの選択肢の1つに過ぎないという戦略が基本にある。

これは、モデル名にも表れている。新世代のハッチバックは、共通してクーパーと呼ばれることになった。電気モーター版ではEかSE、内燃エンジン版ではCかSが、その後ろに続く。2024年末には、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)も登場予定だ。

やんちゃで活発な子犬のように愛らしい

ミニのマーケティング担当者は、「ゴーカート・フィーリング」を新世代でも主張する。MTが選べなくなったのは残念だが、タッチモニターから適したエクスペリエンス・モードを選べば、優秀な前輪駆動シャシーを味わえる。

ゴーカートは前輪駆動じゃない? 車重は1335kgもない? そんなツッコミもわかるが、想像力を働かせれば、同社が伝えたいことは理解できるはず。

ミニ・クーパー C(英国仕様)
ミニ・クーパー C(英国仕様)

0-100km/h加速は7.7秒で、ダッシュ力は鋭い。サスペンションは明らかに硬いが、減衰特性が良く、凹凸が目立つアスファルトでも悩まされるほどではない。

アクセルペダルを踏みながらステアリングホイールを切れば、トルクステアが小さくない。だが、そんなやんちゃな感じが、活発な子犬のように愛らしい。ちなみに、タイヤは専用開発されたネクセンを履いていた。

シャシーは、ステアリングの入力へ忠実・積極的に反応。DSCをスポーツに切り替えると、コーナリング時に右足を傾ければ、内側へ食い込んでいく。これは、ゴーカート・モード・メニューの中から選択できる。

MTの欠如以上に筆者が残念だと感じたのが、スポーツ・グレードを選択しない限り、7速デュアルクラッチATにはマニュアルモード付きのシフトレバーが備わらないこと。シフトパドルも、通常は付かない。

そのためエンジンは、意欲的に走らせるとトルクバンドを外したり、レッドライン間際まで回ってしまい、少しもどかしい。中回転域ではトルクフルでも、現代のターボユニットらしく、低・高回転域ではやや息苦しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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