まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP

公開 : 2024.06.30 19:05

アストン マーティンの稼ぎ頭、スポーツSUVのDBXがアップデート 最新タッチモニター獲得 贅沢な雰囲気のインテリアも更新 スーパーサルーンのような走り 英国編集部が評価

アストン マーティンへ利益を与えるDBX

グレートブリテン島中部、ゲイドンにあるアストン マーティン本社の敷地内を、警備員は自社のDBXで移動している。ホワイトのボディとシルバーのホイールが美しい、2020年式の大型SUVで。

フェラーリのマラネロを守る警備員は、30万ポンド(約6000万円)以上するプロサングエで敷地内を移動しているのだろうか。ちょっと想像しにくい。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

今回、筆者はアップデートを受けたDBX707へ試乗するため、ゲイドンを訪れた。派手なボディカラーの隣に、そのホワイトのDBXが停まっていたのだが、驚くほど控えめに見えた。相対的なものに過ぎないが、最初はそれだと気付かなかったほど。

2019年に登場したDBXは、快適性と操縦性を並外れた水準で両立し、ドライバーズカーと呼べるスーパーSUVへ仕上がっていた。その存在意義の核は、数を多く売るため。利益率の高い厳しい市場で競り勝ち、アストン マーティンへ利益を与えることにあった。

ベースのDBXが登場して数年後に、華々しくDBX707が登場した理由も同様だ。ダイエットとパワーアップ、派手なボディカラーとノイズ、GT3マシンのようなディフューザーを獲得し、市場における存在感を強化した。

ベントレーベンテイガランボルギーニウルス、フェラーリ・プロサングエを検討する人へ、こんな魅力的な1台がアストン マーティンにありますよ、と訴求するため。結果として圧倒的な支持を集め、ベースのDBXは生産が終了してしまったほど。

最新タッチモニター獲得 インテリアも更新

そして、アップデートが施された。今回のレシピの中心になったのはインテリア。ハイテクに強い関心がある中国では、最近になってDBX707の販売は下降気味だった。インフォテインメント・システムの刷新は、切実なものになっていた。

今やアストン マーティンの売り上げの半分以上を、DBX707が稼いでいる。最新のDB12ヴァンテージと同じ、タッチモニターへ対応したシステムを獲得したとしても、まったく不思議ではない。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

メーターパネルには、12.3インチのモニターが収まる。トランスミッション・トンネルには、使い勝手を高めるコントローラーやボタンが並ぶ。握りやすいステアリングホイールには、タッチセンサー式のパネルが配される。この反応は、若干鈍かったが。

インターネット等の接続機能も大幅に改善。アップル・カープレイとアンドロイド・オートへ対応し、USB-Cポートも用意されている。週末にしか乗らないスーパーカーと異なり、裕福な人が日常的に乗る高級SUVにとっては、不可欠な装備といえる。

インテリア全体の質感もアップグレードされた。用いられる素材が新しくなり、ディティールの仕上げも更新され、贅沢な雰囲気で満ちている。

クラス最高といえる車内の開放感や、プロのバスケットボール選手も狭く感じないであろう、広々としたリアシート側の空間はそのまま。荷室も含めて、富裕層が普段使いで困ることはないはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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