まるで走りはスーパーサルーン! アストン マーティンDBX707へ試乗 タッチモニター獲得で誘引力UP

公開 : 2024.06.30 19:05

走りは車高の低いスーパーサルーンのよう

運転体験では、後輪操舵システムが備わらないことが、唯一の弱点。公道では、車重が2245kgもある背の高いSUVへ想像するであろう印象を、いい意味で裏切り続ける。まるで、車高の低いスーパーサルーンのように走ってみせる。

秀抜なロードマナーは維持しつつ、運転するエンターテインメント性もしっかり持ち合わせている。有能な技術者がいるブランドでなければ、達成は難しい。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

メルセデスAMG由来の、4.0L V型8気筒ツインターボエンジンは基本的に変わらず、最高出力は707ps。とはいえ、天井知らずの動力性能を披露することも変わらず。電子制御のリミテッドスリップ・デフと、極太のピレリ・タイヤがしっかり路面へ展開する。

エアサスペンションとアクティブ・アンチロールバーなどの設定も、ほぼ変更はないそうだ。スポーツ+モードを選んで右足へ力を込めれば、息を呑むほど積極的ながら、荒々しさは皆無。安定した姿勢制御と漸進的な反応で、操る自信を鼓舞する。

コーナリングは、見事のヒトコト。SUVという括りを抜きにして、スピードに見合った興奮を得られる。

そして、圧巻なほど速い。V8エンジンを搭載するSUVの中には、正確に突き進む方向を
定めるのが難しいモデルもある。V12エンジンのプロサングエなら明確だが、10万ポンド(約2000万円)ほどお高い。

多能ぶりに感心しきり 誘引力は一層強化

GTモードを選べば、DBX707は滑らかなグランドツアラーに変化する。ロードノイズは、少し大きすぎるけれど。

ホイールサイズは、22インチか23インチを選べる。用意されたデザインも多彩。タイヤのサイドウォールを確保するため、筆者なら小ぶりな方を指定するだろう。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

高性能なSUVへ否定的な人でも、DBX707の多能ぶりには感心せずにいられないはず。当初から関心を抱いていた人へは、クラス最高の洗練度ではないとしても、最新のインフォテインメント・システムの獲得によって、誘引力が一層強まったに違いない。

素晴らしいパッケージングへ、不要な手は加えられていない。高速で快適で、地の果てまで走り続けられる。不審者へ目を光らせる警備員が乗るクルマとしても、間違いない選択といえるようだ。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)のスペック

英国価格:20万5000ポンド(約4100万円)
全長:5039mm
全幅:1998mm
全高:1680mm
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:7.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2245kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:707ps/6000rpm
最大トルク:91.4kg-m/4500rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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