【いよいよ明日発売】乗ってどうだ? BYDシール 中国試乗で見えた走りのパフォーマンス

公開 : 2024.06.24 17:05

・明日6月25日に日本で発売されるBYDシール
・中国試乗で見極める走行性能
・気になる価格 欧州プレミアム勢に挑む

BYDの起源はバッテリーメーカー

BYDは1995年、広東省深セン市にバッテリーメーカーとして設立された。

世界の名だたる電子機器メーカーによる採用例を増やしていき、2003年には国営の自動車メーカー「西安秦川汽車」を買収。自動車部門「BYD汽車」がスタートした。

BYDシール(英国仕様)
BYDシール(英国仕様)    AUTOCAR

勘違いされやすいがBYDはBEV専業メーカーではない。PHEV、そしてそれを支える内燃機関も自社で手がけている。

事実、2023年は全世界でBEVを157万4822台、PHEVを143万8084台を販売している。2024年はBEVが世界的にやや下火傾向にあることに加え、BYDが「第5世代」と呼称する新たなPHEVシステムを市場へ投入したこともあり、同社においてはPHEVの割合が増加するのではないかと見られる。

日本においては2015年に京都府のバス事業者「プリンセスライン」へバスを5台納入したことにより、電気バス事業をスタートさせた。

現在までに日本全国のバス事業者へ約200台の納入を完了しており、2030年までに累計4000台を日本で販売するという目標も立てている。

日本で乗用車の販売を発表したのはまだ記憶に新しい2022年7月のこと。2023年1月にローンチしたのはSUV「アット3」で、続いて同年9月には小型ハッチバック「ドルフィン」を発売。

そして明日2024年6月25日に日本発売となるセダン「シール」まで、すべてBEVで3車種を取り揃える。

当初の予定ではシールも2023年中に発売予定としていたが、最終的には「2024年初夏」へと延期。そしてついに、2024年6月25日に発売されることとなったのだ。

純正でもスポーティな走り

筆者が初めてシールに試乗したのは、日本のサスペンションメーカー「テイン」が2023年7月に中国で開催した試乗会でのこと。

テインの中国工場近くにあるミニサーキットで「テスラ モデル3」「テスラ モデルY」「ジーカー001」「BYDシール」の4車種を、それぞれで「純正」「純正形状サスペンション EnduraPro Plus」「スポーツ車高調 FLEX Z」「FLEX Z+電動減衰力コントローラ EDFC5」の4通りのセッティングを試すことができた。

「テイン」が2023年7月に中国で開催した試乗会のようす。
「テイン」が2023年7月に中国で開催した試乗会のようす。    テイン

そこで驚かされたのが、シールは純正でも意外と悪くないという事実だ。

シールはBYDの「e-Platform 3.0」で設計され、底面のバッテリーパックがボディ構造の一部を担う「セル・トゥ・ボディ(CTB)」構造を採用する。

これにより実現した高いねじり剛性が効果を発揮し、狭いコースにおけるタイトなコーナーでもしっかりとボディが付いてきてくれると感じられた。

また、ハンドリングも正確でクイックな印象を受けたが、これはダブルピニオン式電動ステアリング(DP-EPS)によるもの。

加えて、全輪駆動モデルでは四輪トルク制御システム「iTAC」と可変ダンピングアブソーバを独自に採用しているので、走りに関してはBYDもかなり自信を持って仕上げたと言える。

純正でも十分に良いシールだが、そこへテインのスポーツ車高調 FLEX Zを組み合わせることで「安心してもっと踏める」BEVが完成する。サーキットでは基本的にストレートで速度を稼ぎ、その後のコーナーでいかに速度を抑えながらも素早く曲がるかが肝心。

FLEX Zを装着することで不必要なロールが軽減されるだけでなく、街中においても本領を発揮する路面上の凹凸の吸収加減も向上することによって、ちょっとした攻めた走りもこなせると感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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