【いよいよ明日発売】乗ってどうだ? BYDシール 中国試乗で見えた走りのパフォーマンス

公開 : 2024.06.24 17:05

動力性能に見合った制動力を!

2023年10月にはBYDが日本のメディアを招待し、深セン市にある本社の見学、そして珠海国際サーキットでのシール試乗会を開催した。

シールを国際的なレースも開催できるサーキットで試乗するのは初めてだったこともあり、とりあえずは純正の限界を知り尽くそうと考えた。

2023年10月に開催された試乗会のようす。
2023年10月に開催された試乗会のようす。    BYD

乗り心地は変わらず良かったものの、より直線区間が多いサーキットではブレーキの扱いづらさが目立った。

全輪駆動モデルでは出力530psを発揮するが、その加速力に見合うだけの制動力が備わっているとは言いにくい。

もちろん本格的なハイパフォーマンスセダンの水準は求めないが、コーナリング時の減速においては明確に物足りなさを感じた。

また、ブレーキペダルも半分ぐらいまではスカスカ、そこから踏み込むことでじんわりと効いていく「慣れ」が必要なタッチだ。

BEVは、加速するだけであればアクセルを踏めばモーター駆動により瞬時に速度を上げてくれる。その一方で、高速で移動する物体は急には止まれない。

シールの位置付けとしては街乗り性能が重視されるべきであるし、0-100km/h加速3秒台のような爆発的なパフォーマンスよりも緊急時にしっかりと対応できるブレーキ性能の方が肝心だ。

ただ、逆に言えば走りの面における懸念点はそれぐらいで、乗り心地に関してはドイツ車的な硬さで安心・安定のある走行体験をもたらしてくれた。

スポーティな純電動セダンはまだ日本で少なく、シールが発売されれば大きな話題を呼ぶだろう。シールがライバルとして見据えるのはBEVだけでなく、同じDセグメントセダンのガソリン車たちも含まれる。

日本での販売価格は明日6月25日に発表予定とのこと。なみいるライバルたちにどう挑むのか、目が離せない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤ヒロト

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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