さらにワイルド&ドラマチック! 改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(1) アプデで総合700psへ

公開 : 2024.06.20 10:05

マクラーレンのプラグインHVスーパーカーが徹底的なアップデート ソフトの改変でシステム総合700ps 新しい可変ダンパーとエグゾーストを獲得 ステアリングは理想像 英国編集部が評価

同社にとって最も冒険的といえるアルトゥーラ

マクラーレン・オートモーティブのCEO、マイケル・ライターズ氏は、同社のロードカーをモータースポーツがルーツのものへ戻したいと発言している。レーシングカーとの関係性を深め、他にはない個性や特徴を創出したいと考えているようだ。

そんな彼が現在のポジションへ就任してから、間もなく2年。早速、その変化が量産モデルへ反映されているのかもしれない。最新のマクラーレン750Sは、従来よりワイルドさやドラマチックさが強化されている。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

アップデートを受けたプラグイン・ハイブリッドのアルトゥーラも、同じベクトルを向いている。リセットされたように感じた、といっても過言ではない。

アルトゥーラの販売は少し伸び悩んでいたと、同社の幹部は認めている。大々的な改良を施し、再出発を果たしたいという狙いがあるのだろう。

もっとも、2022年の発売時から、アルトゥーラは同社にとって最も冒険的なモデルといえた。それは、ハーネスを用いずイーサネット接続を利用した電気系統や、スーパーフォーム技術で成形されたアルミニウム製ボディだけではない。

カーボンファイバー製モノコックタブは、自社製造の最新版。マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャ(MCLA)と名付けられ、従来より高剛性で、電動化技術で増える車重の削減にも注力されている。

パワートレインは、V型6気筒ツインターボに電気モーターを組み合わせた、ハイブリッド。同社のP1以来となる、技術的にも1歩踏み込んだモデルといえる。

ソフトの改変で700ps 既存オーナーも対応可

アルトゥーラのオプションは多彩。ボディカラーは標準の6色のほか、追加費用で約30色から選べる。ホイールのデザインは3種類。ボディトリムや装備類も、ふんだんに用意されている。

特に選ばれる可能性が高いオプションは、7種類のパッケージとして提供。グロスブラック・インテリアフィニッシュ、パフォーマンス、MSOカーボンファイバー・インテリアなどだ。ボディスタイルは、クーペの他にスパイダーも追加された。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

全長は、570Sと比較して約10mm縮められ、ホイールベースも僅かに短い。車重は1498kgと充分に軽量といえ、46kg増に留めた。カーボン製モノコックタブは強固なため、スパイダーの車重も62kgのプラスに抑えられている。

2025年仕様のアップデート内容を確認していくと、3.0L V6エンジンは、ソフトウェアの改変で最高出力が585psから604psへ上昇。既存オーナーも、ディーラーでのアップデートで同等の増強が受けられるという。

7.4kWhの駆動用バッテリーと、エンジンの直後に組まれた、トルクを補完する駆動用モーターで構成されるハイブリッド・システムは、130kgと軽量。モーターの最高出力は、95psで変更ない。

システム総合での最高出力は、20ps増しの700ps。最大トルクは73.2kg-mを発揮する。これは、マクラーレン570Sや600LTを遥かに上回る数字。アウディR8ランボルギーニウラカンも凌駕する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗の前後関係

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