改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力

公開 : 2024.06.20 10:06

マクラーレンのプラグインHVスーパーカーが徹底的なアップデート ソフトの改変でシステム総合700ps 新しい可変ダンパーとエグゾーストを獲得 ステアリングは理想像 英国編集部が評価

出だしから印象は鮮明 シャープに反応するHV

2025年仕様のアップデートを経て、マクラーレンアルトゥーラがまったく異なる個性のスーパーカーになったわけではない。それでも、より積極的で引き締まり、パワフルになったことは間違いない。出だしから印象は鮮明だ。

アルトゥーラは、マクラーレンのモデルラインナップで、従来のスポーツシリーズに位置する。上級のスーパーシリーズと比較して、日常側にあったといえる。それでも、洗練性を維持しつつ、速さと興奮が追い求められている。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

特にその印象を生んでいるのが、シャープに反応するハイブリッド・パワートレインだ。マクラーレン570Sの優しい初動を覚えている人なら、右足を僅かに傾けた瞬間、積極的に加速しだす振る舞いへ驚くはず。

エンジンの回転数を保つため、低いギアを選ぶ必要はない。ドライバーが求めた瞬間、シームレスに融合された電気モーターが加勢。エンジンは5000rpmから本領を発揮し、8500rpm目掛けて登り詰めていく。ターボブーストが効く感じも気持ち良い。

2022年にAUTOCARが計測した680ps仕様のアルトゥーラは、0-100km/h加速を3.2秒、0-161km/h加速を6.3秒でこなした。2025年仕様が、これを塗り替えたことは確実だろう。

音響は厚みが増し、カリスマティック。ポルシェの水平対向6気筒と、フェラーリのフラットプレーンV型8気筒を融合させたような響きの瞬間もある。

理想像なステアリング 運転へ夢中にさせる

ただし、パワートレイン・モードをエレクトリックにした場合は注意が必要。スポーツ・モードなどと、動力性能の差はかなり大きい。ストップ&ゴーの多い市街地では、もどかしさが先に立ってしまいそうだ。

とはいえ、最長27km前後を電気だけで走れ、1度慣れてしまえば運転しにくくは感じないはず。60km/h以上でも小気味よく速度を乗せていき、高速道路の走行車線にも対応できる。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

ステアリングは、まさに理想像。開けた公道へ駆け出せば、重み付けやレシオ、手のひらへの感触、フロントの反応が完璧に調和していることを理解できる。直感的で情報量豊かで、運転へ夢中にさせる魅力がある。

グリップの変化や、フロントタイヤへ伝わる衝撃の存在は感じ取れるものの、操舵を邪魔することはない。3スポークが支える美しいリムを、優しく握っていれば良い。

スーパーカーとしては全幅が狭く、視界も優れるため、車線の中央を保つことも難しくない。安定したグリップとレスポンスで意図通りに操れ、過度に緊張することなく、高い速度域へ踏み出していける。

アップデートで獲得した、最新のアダプティブダンパーとエンジンマウントは、少なくとも公道では効果を明確に感じにくい様子。そもそも、以前から不満があったわけではなかった。

それでも、スポーツ・モードでは従来以上にしっかり路面へ設置している印象。公道を許容するしなやかさを備えつつ、姿勢制御は明確にタイトだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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