改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力

公開 : 2024.06.20 10:06

丸みを帯びた親しみやすさ 電動化技術が無償?

コンフォート・モードを選ぶと、息を合わせるように路面の凹凸を受け流し、揺れを最小限に抑えてくれる。隆起したエッジ部分などを通過すると、落ち着きへ影響が出る場合はあるようだが。

コーナリングの鋭さと、ライン調整の幅という点では、最新のミドシップ・フェラーリと比べても、その差は限りなく小さいだろう。即座に興奮を誘うタイプではないかわりに、アルトゥーラには丸みを帯びた親しみやすさがある。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレンアルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

スパイダーでも、正確な姿勢制御や回頭性は変わらない。狙い通りに、連続するカーブを堪能できるはず。

走行中の車内は、エレクトリック・モードならかなり静かだが、V6エンジンが始動しても、穏やかに高速道路を流している限りうるさいわけではない。80km/hでの走行中は、72dBAだった。参考までに、典型的なファミリーハッチバックは66dBA前後だ。

さて、最後に英国価格。アップデート後のアルトゥーラは、20万ポンド(約4000万円)を超えた。といっても、V8エンジンを搭載していた570Sとほぼ同じといえ、電動化技術が無償で追加されたと考えられなくもない。

このお値段は、ポルシェ911 ターボやアストン マーティンヴァンテージメルセデスAMG GTなどと大差ないもの。マセラティMC20ランボルギーニウラカンは僅かに高く、フェラーリ296 GTBは遥かに高額だ。

妥協ない動的能力 最高水準の操縦性

日常的な移動からサーキットの走行会まで対応できるスーパーカーをお探しのドライバーへ、望ましい1択であることは間違いない。動的能力に妥協は感じられず、直感的な操縦性は最高水準。公道での洗練性も素晴らしい。

従来の個性までがリセットされたわけではなく、ダイレクトでエモーショナルな特徴は、明確に強化された。マクラーレンの入口側にあるハイブリッド・スーパーカーは、盤石な進化を遂げたようだ。

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)
マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)

◯:高効率・軽量化を叶えたパッケージング モーターが融合した妥協ない動的能力 車重増を実感させない、安定感が高く情感豊かな操縦性
△:やや硬くなった乗り心地 一部のライバルへ僅かに届かない敏捷性 電気だけで走れる距離が27km前後と短い

マクラーレン・アルトゥーラ・クーペ(英国仕様)のスペック

英国価格:21万2230ポンド(約4245万円)
全長:4539mm
全幅:1913mm
全高:1193mm
最高速度:329km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費:21.8km/L
CO2排出量:104g/km
車両重量:1498kg
パワートレイン:V型6気筒2993cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:700ps(システム総合)
最大トルク:73.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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