フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在

公開 : 2024.06.22 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

フロントシートの快適さと後席の広さ、どちらもクラストップではないが、600eは乗員にとてもマイルドなツーリングをもたらす。市街地でも郊外でも、バンプをしなやかにいなし、ソフトだがダラダラして路面の変化で乗り物酔いを引き起こすようなものではない。

視認性は全方位とも良好で、テスト車は180度リアカメラも装備され、駐車がより楽にできる。

乗り味はマイルドで、突出したところはないが全体的に快適志向。しっかりした手応えのステアリングも、走りを追求したような味付けではない。
乗り味はマイルドで、突出したところはないが全体的に快適志向。しっかりした手応えのステアリングも、走りを追求したような味付けではない。    JACK HARRISON

静粛性はクラス最高というわけではないが、価格帯を考えればそこは期待しないだろう。プライスの近いEVには、80km/h巡航で60dBA以下というものもあるが、600eは63dBAだった。113km/hでは67dBAで、ルノーメガーヌE−テックの66dBAやスマート#1の65dBAにはわずかに及ばなかったが、キャビンで聞こえる風切り音やロードノイズはわずかだった。

ブレーキがもっとうまくチューンされ、よりプログレッシブで、摩擦ブレーキと回生ブレーキのブレンドがさらによければ、ジャンクションで同乗者の頭を前後させるような減速にはならなかっただろう。いっぽう、アシスト力がやや弱いステアリングは、コーナリングでスムースなライントレースを可能にする。とはいえ、全般的にはやはり快適志向だ。静粛性や広さでライバルに一歩譲っても、そこは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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