見た目を裏切らない! ボルクヴァルト・イザベラ・コンビ 雰囲気と裏腹な? モーリス・オックスフォード・トラベラー(2)
公開 : 2024.07.07 17:46
1950年代に成長を遂げたステーションワゴン市場 支持拡大へ貢献したイザベラ・コンビとオックスフォード・トラベラー 好対照な見た目 完成度の高い走り 英編集部が70年前の2台を振り返る
もくじ
ー整った見た目を裏切らない走り
ー好対照な容姿のオックスフォード・トラベラー
ー英国の中流階級が味わったであろう体験
ー驚くほど運転する魅力度が高い
ー欧州の市場拡大へ一石を投じた2台
ー一石を投じたステーションワゴン 2台のスペック
整った見た目を裏切らない走り
グレートブリテン島の西部、コッツウォルズ地方に広がる穏やかな田舎道を、ボルクヴァルト・イザベラ・コンビは颯爽と走る。初代オーナーも楽しんだであろう、その印象は、整った見た目を裏切らない。
スターターボタンを押すと、柔らかいエンジン音が車内へ届く。サイドブレーキ・レバーを引き、ストロークの長いコラムシフトレバーを持ち上げ1速へ入れる。ウインドウの位置が高く、クルマへ身を委ねているような感覚が強い。
発進から滑らかで好印象。低回転域でもトルクは太いが、1.5L 4気筒エンジンは個性が薄い。シフトレバーは曖昧で、丁寧な操作が求められる。
フラットなベンチシートは、横方向には身体を支えてくれない。アイボリーで細身のステアリングホイールは、いかにも1950年代らしい。ダイレクトに反応するものの、切り始めの遊びは多い。
それでも、70年前のファミリー・ステーションワゴンであることを考えると、完成度は感心するほど高い。乗り心地はしなやかだが、うねるような路面で浮足立つことはない。速度を上げても、姿勢制御がおぼつかなくなることもない。
コーナーの途中で、わざとアクセルペダルを緩めると、僅かにテールが流れた。しかし、すぐに落ち着きを取り戻す。平穏に長距離を走れそうだ。
好対照な容姿のオックスフォード・トラベラー
モーリス・オックスフォード・トラベラーのスタイリングは好対照。ツートーンのボディは、1950年代のニューヨークの景色へ溶け込めるに違いない。
1958年の新車価格は、オプションの塗装代込みで1011ポンド。安いクルマとはいえなかったが、輸入税が課されたイザベラ・コンビより、英国ではお手頃だった。その440ポンドを抜くと、価格は大きく逆転するが。
初代モーリス・オックスフォードの登場は、1913年に遡る。トラベラーはシリーズIVの派生版で、1954年のシリーズII サルーンがベースにある。
オックスフォード・トラベラーのエンジンは、シリーズIIと同じ、オーバーヘッドバルブの1.5L Bシリーズ・ユニット。オースチンとモーリスは、1952年にブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)の傘下へ入っており、当然の選択だった。
ボディ構造は、サルーンと同様にシャシーと一体のモノコック。サスペンションは、フロントがトーションバースプリングによる独立懸架式。リアは、リジットアクスルにリーフスプリングというコンベンショナルな構成だ。
ステーションワゴンのトラベラーは、木製ボディパネルを採用したウッディワゴンとして、シリーズIIの時代に登場。シリーズIII以降は、オプションでツートーン塗装が設定された。
オックスフォード・シリーズIVへバトンタッチしたのは1957年。強度や重さ、耐久性などを理由に、トラベラーのボディはスチール製へ変更された。4速のトランスミッションは、当初コラムシフトだったが、1958年式にフロアシフトへ改められている。