「V8」を置き換える直6+モーター メルセデスAMG E 53 ハイブリッドへ試乗 新たな強みを獲得!

公開 : 2024.07.02 19:05

通常は140km/hまでEVモード 高精度なステアリング

インテリアでは、メーター用モニターと中央のタッチモニターが独立したセットアップが標準。オプションで、助手席側にもモニターが追加される、AMGスーパースクリーンも指定できる。

フロントシートは2種類。合皮かマイクロファイバーで仕立てられる。メーターのグラフィックやインフォテインメント・システムのメニューも、AMG独自のものだ。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)

荷室は、駆動用バッテリーの影響で通常のEクラスより170L小さい。サルーンで370L、ステーションワゴンで460Lとなり、足りなく感じる人もいるだろう。

さて、確認はこれくらいにしておこう。E 53 ハイブリッドを起動させると、充電量があればEVモードで発進する。通常は140km/hを超えるまでエンジンは始動せず、極めて静か。しかも、充分に活発だ。

ステアリングホイールはかなり重めで、反応は高精度。乗り心地は硬めだが、そのぶん姿勢制御はタイト。いかにもAMGらしい。

ブレーキペダルの感触は、踏み始めが少しスポンジーに思えた。その理由は、最大120kWの電気エネルギーを生成する、回生ブレーキが備わるためだろう。効きの強さは4段階から選べる。

とはいえ、前390mm、後360mmという大きなディスクに、4ポッドと1ポッドのキャリパーが組まれている。さらにペダルへ力を込めると、ソリッドな踏み応えとともに、確かな制動力が立ち上がる。

本領なら驚異的な加速力 操縦性も正確で着実

スポーツやスポーツプラス・モードを選ぶと、直列6気筒エンジンが始動。動力性能は一気に向上する。駆動用モーターとシームレスに協調し、回転域を問わず極めてたくましい。加速力も驚異的だ。

9速ATは滑らかにギアを切り替えるが、スポーツプラス・モードを選べば6500rpmまで引っ張ってシフトアップ。四輪駆動システムが生み出す安定性も素晴らしい。

メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)
メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ サルーン(欧州仕様)

0-100km/h加速は3.8秒。先代のE 53より0.7秒も縮めた。最高出力で並ぶV8ツインターボを搭載したE 63は3.4秒だったが、新しいE 53の車重は2240kgと、約290kgも重い。それでも、公道では有り余るほどだろう。

加速時には、豪快なサウンドも放出される。V8エンジンの重厚なバリトンボイスには届かないが。

操縦性は、平滑な公道で許される範囲では、正確で着実。ステアリングホイールは直感的に操れ、最大2.5度まで向きを変える後輪操舵システムも組まれ鋭敏。トルクベクタリング機能が、出色のトラクションも担保する。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。ツインバルブ・アダプティブダンパーによるAMGライドコントロールを実装し、通常より広いトレッドと相まって、横方向の姿勢制御も概ね盤石だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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