フォードの定番SUVも電動へ! 新型エクスプローラーへ試乗 VWの技術を採用 快適性は競合以上

公開 : 2024.07.05 19:05

VWのプラットフォームを利用し、電動へ生まれ変わったフォードのエクスプローラー 航続距離は最長601km 2モーターの四輪駆動も設定 優れた操縦性を宿すSUV 英国編集部が評価

フォルクスワーゲンのMEBが基礎骨格

新しいエクスプローラーは、新しいフォードを体現している。フォルクスワーゲンのMEBプラットフォームを基礎骨格にするだけでなく、かつてフィエスタがラインオフしていた、ドイツ・ケルンの工場で作られるのだから。

英国価格は、約4万ポンド(約800万円)から。電動ファミリーSUVの価格帯をリセットするべく、お手頃に設定された。全長は、フォルクスワーゲンID.4より約125mm短い。

フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)
フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)

フォードは、フィエスタやフォーカスなど薄利多売のモデルから、プーマやエクスプローラーなど、利益率の高いクロスオーバーやSUVへシフトしている。多くの人の記憶に残るモデル名を活用しながら。

AUTOCARの読者はご存知かもしれないが、フォードは英国ナンバーワンの自動車メーカーだった。だがフィエスタの生産終了以降は、販売数の上位から転落している。新しい電動SUVで、勢いづかせたいところだ。

エクスプローラーは難産だった。最新のバッテリー技術へ最適化するため、開発は1年以上遅れた。それでも同社の技術者は、操縦性に長けたモデル作りを得意とする。

開発を率いた技術者の1人、ヘルト・ヴァン・ノイエン氏は、「基本的に望ましいフォードへ近い」ものへ仕上がったと主張している。車重による足かせはある、と前置きしつつ、機敏さや路面への追従性、フィーリングを追求したとも述べる。

タイヤは専用開発のコンチネンタルで、ハードウエアだけでなく、ソフトウエアにも時間が割かれたという。東欧のスロベニア・リュブリャナ郊外の公道で、仕上がりを確かめてみよう。

航続距離は最長601km 2モーターの四輪駆動も

エクスプローラーには複数の仕様が用意されるが、2024年末に発売されるエントリーグレードはエクセル。駆動用バッテリーは52kWhで、航続距離は384kmが主張される。駆動用モーターはリアに搭載され、170psを発揮する。

今回試乗したのは、エクステンデッドレンジ仕様。同じシングルモーターだが、最高出力は286psへ高まる。駆動用バッテリーは77kWhへ増量され、航続距離は601kmへ伸びるという。MEBプラットフォームを利用したモデルとして、目下の最長だ。

フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)
フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)

こちらの場合、英国価格は4万5875ポンド(約917万円)。追加費用でプレミアム・グレードを選ぶと、ホイールは19インチから20インチへ大きくなり、マトリックスLEDヘッドライトを獲得する。かわりに、30kmほど航続距離は短くなる。

ベーシックなエクセルでも、ヒーターとマッサージ機能付きのフロントシートに、運転支援システム、インフォテインメント用タッチモニターなど、装備は充実している。高効率なヒートポンプ式エアコンは、共通でオプションだ。

エクステンデッドレンジにはツインモーター仕様もあり、5万3975ポンド(約1079万円)へ上昇する。フロント側にも駆動用モーターが追加され、四輪駆動になり、最高出力は総合339ps。79kWhの駆動用バッテリーが載り、1度の充電で529km走れる。

最高速度はいずれも180km/h。急速充電能力は、シングルモーターが最大135kW。ツインモーターでは185kWとなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォードの人気画像