フォードの定番SUVも電動へ! 新型エクスプローラーへ試乗 VWの技術を採用 快適性は競合以上

公開 : 2024.07.05 19:05

フォードらしく優れた操縦性を宿す電動SUV

既にこのクラスの電動SUVは、選択肢が整いつつある。今回の試乗の限り、フォーカス級に日常的な興奮を提供することはないとしても、エクスプローラーが快適で親しみやすく、優れた操縦性を宿したモデルであることは明らかだ。

ステアリングは軽すぎず、反応は正確。速度域を問わず扱いやすく、車線の中央を辿りやすい。ドライバーの意のままに操れ、クルマとの一体感もこのクラスでは優れる。とてもフォードらしい。

フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)
フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)

動力性能は、シングルモーターの286psで不満なし。発進時に一気にトルクが立ち上がる印象だが、それ以降は線形的で滑らかに速度を管理できる。追い越しに不足ない余力もある。

ツインモーターも試せたが、エクスプローラーの動力性能としては、こちらがベターかもしれない。パワフルでシャシーの能力を引き出しやすく、運転の楽しさも勝るようだ。

高い速度域を保って機敏に走れ、気持ちが良い。0-100km/h加速は5.3秒だ。ただし、フォードとしてはお高めの価格が残念。スイートスポット的な、丁度いい仕様が登場することへ期待したい。

シングルモーターでもツインモーターでも、ドライブモードはスポーツとエコ、Bの3段階が用意される。最後のBは、ブレーキペダルを踏まずに停止できる、ワンペダルドライブを叶えている。

スポーツ・モードではステアリングホイールが重くなり、アクセルペダルの角度に対して活発に加速するようになる。エコ・モードはその逆だ。

ライバルに勝る快適性 タッチモニターは15インチ

サスペンションはアダプティブではなく、ドライブモードに関わらず一定。シングルモーターの方が、低速域での乗り心地は落ち着かない印象。ツインモーターは増える車重の影響か、つぎはぎの多い都市部でも滑らかだった。

流れの速い郊外に出れば、シングルモーターでも質感は改善。しなやかで快適といえた。

フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)
フォード・エクスプローラー・エクステンデッドレンジRWD プレミアム(欧州仕様)

車内はとても静か。風切り音は最小限に抑えられ、フォードへ期待する以上に洗練されている。電動であることの強みを、しっかり味わえる。フォルクスワーゲンID.4だけでなく、アウディQ4 e-トロンと比較しても快適性は高いだろう。

実際の航続距離は、少し活発に走らせた後に充電し、シングルモーターで表示された想定が515km。ツインモーターでは482kmが示された。気温が12度と低かったことを考えると、優秀だ。

最後に、車内を観察してみよう。ダッシュボードに据えられるのは、中央部分をほぼ埋め尽くす、約15インチのタッチモニター。チルトでき、裏側には収納が隠されている。センターコンソールにも、大きな小物入れがある。

タッチモニターは高精細。トップ画面は理解しやすいが、そこから掘り下げていくとメニュー構造が少しややこしい。これは、フォルクスワーゲン・グループのシステムが持つ癖と共通している。

アイコンが小さく、正確にタッチするには指先をしっかり見る必要がある。エアコンの操作メニューがモニターの下部へ固定表示されるのは良いのだが、これも小さい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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